出版社内容情報
認知言語学は,言語がとりわけ思考の問題であるとする観点に立ち,言語を人間の認知プロセスの反映と捉える.移動や行為のような事象をいかに把握し輪郭づけるのか,心のメカニズムと言語の関係を明らかにする.
内容説明
本書は、事象構造(event structure)をカバー・タームとして、事象の把握や輪郭づけ、知覚のメカニズムと言語の関係を明らかにするものである。中心となるのは、移動や行為のような事態把握の本質、事象の輪郭づけとしてのアスペクトやテンス、知覚の参照点としての主語の再規定、非典型的主語や二重主語文の本質、構文スキーマの談話機能の探究である。
目次
1 ヴォイス(英語中間構文とその周辺―生態心理学の観点から;フランス語の再帰構文―その認知的一体性;受影性と受身 ほか)
2 プロトタイプ、スキーマ、意味的制約(ドイツ語中間構文の認知論的ネットワーク;英語進行形の概念構造について;英語所有格表現の諸相―プロトタイプ理論とスキーマ理論の接点 ほか)
3 文法関係(中国語二重主語文の意味と構造;日本語の「に‐が」構文と分裂主語性;「悲しさ」「さびしさ」はどこにあるのか―形容詞文の事態把握とその中核をめぐって ほか)
著者等紹介
西村義樹[ニシムラヨシキ]
1960年生れ。東京大学大学院総合文化研究科助教授。認知言語学、日英語対照研究
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