出版社内容情報
言語理論では統語研究に加えて,レキシコン(語彙)研究が大きな成果をあげている.話者の記憶装置であるレキシコンと,自然言語に特有な演算処理を行う統語とはどのような関係にあるのか.語形成,意味計算などを含めた研究を示す.
内容説明
レキシコンと統語論との関係を軸にさまざまな視点からの文法理論研究を採録した。
目次
序 レキシコン研究の展望
1 レキシコンと語形成(名詞化現象の語彙論的考察;語彙的複合における複合事象―「出す」「出る」に見られる使役と受動の役割;語彙概念構造の組み替えを伴う統語的複合語―「V+合う」を中心に;形容詞から派生する動詞の自他交換をめぐって)
2 レキシコンから統語へ(非対格構造の他動詞―意味と統語のインターフェイス;日本語の存在・所有文の文法関係について;後期古英語散文における文頭の主語・動詞の倒置―古英語散文史の一断面)
3 レキシコンと計算(脳におけるレキシコンと統語の接点;二重メカニズムモデルと語彙情報の「継承」―英語の名詞化の場合;日本語における否定辞・量化子のスコープの決定;Wh節と「も」の動的相互関係)
著者等紹介
伊藤たかね[イトウタカネ]
1955年生れ。東京大学大学院総合文化研究科教授。形態論、語彙意味論、メンタルレキシコン理論
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