内容説明
日本美術史を専門とする著者が、絵画から彫刻、建築、工藝、漫画、映画、小説まで、現代のわれわれをとりまく藝術と社会を鋭い切り口で論じる。書評や展覧会評も充実した『UP』誌の好評連載、待望の書籍化。
目次
空間読めよ
代理=表象
トランジスタ・ラジオ
交渉する画家
世界の中心で、六甲颪を叫ぶ
ガラスのかけら
美術史が新しかったころ
最古の洛中洛外図
達磨
真理なんてどうでもいいわけ?
演技する精神
楽屋落ち
東大教師が新入生にすすめる日本美術史以外の本
技官たち
前略 横尾忠則様
力を抜く
コカコーラの瓶の中のトカゲ、と寺山修司は日本を呼んだ
美術史学評論家の生活と意見
受験社会科不案内
人生に必要な知恵はだいたい阪神タイガースから学んだ〔ほか〕
著者等紹介
佐藤康宏[サトウヤスヒロ]
1955年宮崎県生れ。現在、東京大学名誉教授。主要著書『若冲・蕭白』(小学館、1991年、本論「蕭白新論」が第4回國華賞受賞)、『湯女図―視線のドラマ』(平凡社、1993年、第6回倫雅美術奨励賞受賞、ちくま学芸文庫、2017年)、『若冲伝』(河出書房新社、2019年、第70回芸術選奨文部科学大臣賞受賞)、『若冲の世紀―十八世紀日本絵画史研究』(東京大学出版会、2022年、第21回〓川賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
果てなき冒険たまこ
2
東京大学名誉教授の著者さんが東京大学出版会の雑誌「UP」での連載記事をまとめた本。日本美術史の専門家の文章だけど多岐に渡る話題あり専門的な考察あり学者さんらしい政治批判ありで色々と楽しめるしいろいろと参考になった。特に日本美術などの参考図書を選択するのに興味ある本がいっぱい出てきてニヤついてしまった。ただ個人の好みなのでしょうがないけどタイガースの部分はほぼ飛ばしました。興味ないもん。2025/05/16
Go Extreme
1
場への同調強制への嫌悪表明 快楽としての学問追求の提唱 不案内ゆえの外部からの喜び 虎不在による猫の如き虎絵表現 縁起絵の現実景観と虚像連結 辺境ゆえ深まる信仰心の逆説 線描主体による社馬図の立体喚起 宗達風神雷神図の肌色の謎 鶴田謙二ねじ式の描画と無時間性 研究対象私物化批判と公開提唱 熱意失い雑務追われる学芸員の現状 カリキュラム逸脱と他分野聴講の勧め 大学執行部への権力集中批判 憲法矛盾孕む夫婦同氏制問題提起 抑制効果なき死刑制度への疑問 保育園への感謝と待遇改善要求 矛盾要望応じた連載打ち切り2025/04/29