出版社内容情報
治水計画の基本となる流量「基本高水」は日本においてどのように決められてきたのか.明治期から終戦直後までの「既往最大主義」から戦後の「確率主義」への変遷を,技術的側面と社会的側面から詳細にたどる.近年多発する水害の対策として今後の治水計画を考えるときに欠かせない一冊.
目次
1章 既往最大主義の時代(「流量」の到来と近代河川工学の幕開け;日本で最初の計画対象流量;明治29年河川法制定後の計画対象流量;利根川の特殊性からみた既往最大主義)
2章 確率主義の萌芽―昭和29年白川改修計画(水害多発期の到来と治水調査会;昭和28年西日本大水害と白川改修;白川改修計画の計画対象流量;昭和29年白川改修計画における確率主義とその構造)
3章 確率主義の誕生―経済への接近(治水計画の経済性;水文統計学の挑戦;水文統計学の実河川への適用;河川計画課の設置と河川砂防技術基準;基本高水と確率主義の誕生、そして残された課題;確率主義誕生までの過程とその構造)
4章 確率主義の変容―経済成長と長期計画(経済計画への治水計画の同化;所得倍増計画と基本高水;計画規模と確率主義の変容)
終章(2つの問いをめぐる基本高水の近代史;次なるパラダイムへ)
補論 基本高水にみる日本における近代治水のパラダイムシフト
著者等紹介
中村晋一郎[ナカムラシンイチロウ]
1982年宮崎県都城市に生まれる。2008年東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻修士課程修了。パシフィックコンサルタンツ株式会社、東京大学総括プロジェクト機構「水の知」(サントリー)総括寄付講座特任助教、名古屋大学大学院工学研究科専任講師などを経て、2018年名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻准教授、博士(工学)。専門は国土デザイン学・水文学・水資源学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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