出版社内容情報
17世紀にニュートンが発見した重力の理論は,自然界が非常に簡単な物理法則に従うことを明らかにし,自然科学の進歩を導く役割を果たした.アリとゾウを比べればわかるように,サイズが大きくなるほど重力の効果は大きく,地球くらい大きくなると硬い岩石もその重力には逆らえない.海洋の変動はもっと重力に従順である.本書は,そのような見方で重力をとらえ,(寺田寅彦流に)観測データを解釈するとともに,人工衛星や超伝導重力計の利用,海底の観測などから得られる地球システムの変動に言及し,来世紀の新しい重力探査機への展望を述べる.
内容説明
最近、重力について書かれた本に出会うことが少なくなった。厳密さを追求した難しそうな本か、石油などを探す物理探査の技術的な本が目にとまる程度である。これらの本は専門家には重要である。しかし多くの読者にとって重要なのは、重力は物理学あるいは自然科学の出発点であり、地球物理学の基礎である、ということである。本書の狙いの一つは、読者にそのことを思い起こしていただくことである。
目次
序章 重力と人間
第1章 重力は万象の基礎
第2章 重力と地球
第3章 重力をどう測るか―4桁の測定から12桁の測定へ
第4章 重力異常から地球の構造をみる
第5章 重力異常から地球のダイナミクスをさぐる
第6章 これからの観測と展望