出版社内容情報
人びとを魅了してやまない,パラアスリートたちの卓越したパフォーマンス.障がいを持った人の脳は,その身体機能に適合して驚きの発達を遂げていく.パフォーマンスを支える脳の再編能力を解き明かし,リハビリテーションへ応用する可能性を探る.
内容説明
卓越したパフォーマンスと脳の驚異的な再編能力。障がいをもった人の脳は、その身体機能に応じて発達を遂げていく。脳に備わる再編能力を解き明かし、リハビリに応用する可能性を探る。
目次
序章 パラリンピックブレインとは
第1章 パラリンピックと障がいがある人のスポーツ・身体運動
第2章 ニューロリハビリテーション
第3章 パラリンピアンの脳
第4章 人生を変えたスポーツ
附録 人間の運動を制御する神経系
著者等紹介
中澤公孝[ナカザワキミタカ]
東京大学大学院総合文化研究科教授、博士(教育学)。1962年生まれ。1985年金沢大学教育学部卒業。1991年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部長を経て、2009年より現職。受賞:1990年日本バイオメカニクス学会若手奨励賞、1994年日本バイオメカニクス学会学会賞(松井賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Roko
33
アスリートの脳の働きを見ると、健常者の常識では考えられないことが起きているのです。たとえば脳性麻痺のスイマーの場合、地上での動きはぎこちないのに、水中では「水を得た魚」のように泳ぐのです。地上では滑らかに動かすことができない腕が、水中では力強く動かせるのです。義足のジャンパーの脳を調べて発見したのは、通常わたしたちが動くときに右足を動かすには左側の脳、左足を動かすには右側の脳が機能するのですが、義足側の足(右)を動かすときには両側の脳が働いているというのです。これまで使われていなかった脳が動き出すのです。2021/12/28
Sato
10
パラリンピックの大きな魅力は「障害があっても人間はここまでのパフォーマンスを達成できる」ことを見せてくれること。そしてこの領域にたどり着くまでの、パラアスリート達の想像を絶する努力や苦悩に思いを馳せ、さらに大きな感動を呼び起こしている。 身体のどこかに障害が発生すると、それを補おうとして、脳はその働きや機能を変化させるそうだ。パラリンピアンの脳ではこの代償的な変化の作用と、高度なトレーニングの相乗効果が、超人的なパフォーマンスを下支えしている可能性がある。まだまだ研究途上の分野だけに大きな可能性を感じる。2022/06/13
Yuka
7
学術書だけど面白かった!車いすユーザーだけでなく義足や視覚障害など様々な障害のあるパラアスリートの脳や研究についてまとめられた本。 医学的な説明のところはもちろんチンプンカンプンなんだけど、パラアスリートの脳のデータ分析のところは興味深いの一言。 これからさらに詳しい研究になっていくんだろうけど、パラスポーツの発展が障害者のためだけのものではなくなる可能性も秘めているし、パラアスリートへの見方も大きく変わるきっかけになりそうで今後が楽しみになる内容でした!2021/08/01
Ikeda Kazumasa
1
パラリンピックで活躍している人の脳で起こっている事。内容は割と羅列的。2022/08/25
Hiro
1
パラリンピックのアスリートのほうがベンチプレスやアーチェリーなど、健常者を上回るパフォーマンスを発揮することがあり、その脳神経のメカニズムに迫っているのが好印象です。 パラリンピックアスリートだから脳神経が発達しやすいのかもしれませんが、それ以上にパラリンピックアスリートの凄まじい努力があるのだと感銘を受けました。 東京大学の教授の著書なので、専門用語も多くて理解しにくい部分もあるかと思います。根拠や引用文献が明確に記載されているので、しっかり読み込めば凄く勉強になる素晴らしい一冊だと思います。2022/07/06