内容説明
科学と文学が見事に融合し、技術文明のありかたに警鐘を鳴らしたカーソンの作品に環境問題の原点を読み解く。文学のなかの生態学。
目次
1 カーソンと生態学(カーソンと社会の動向;生態学―人間と自然のつながり)
2 『沈黙の春』に学ぶ―環境問題のバイブル(原典)(作品紹介;「おそるべき力」―人間が手にした脅威;「生命の連鎖が毒の連鎖に変わる」―化学物質の生態系への影響;「最後は人間!」―化学物質の終着点)
3 『海辺』に学ぶ―生物多様性を知る(作品紹介;生物多様性―いのちのジグソーパズル;「自然の力」―海辺の生命観)
4 『センス・オブ・ワンダー』に学ぶ―自然とともに生きる(作品紹介;センス・オブ・ワンダー―生命への畏敬の念;人と動物のつながり―動物との“交感”)
5 環境問題を考える―カーソンの意思を受け継ぐ(環境問題は人間問題;「べつの道」へ―新たな世界観)
著者等紹介
多田満[タダミツル]
1959年香川県に生まれる。1986年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。現在、国立環境研究所主任研究員,博士(農学)。専門:生態学・環境毒性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マーブル
6
3作品を軸に彼女の蒔いた種の成長具合を検証。『沈黙の春』の告発を受けて人間はどのように行動したか。『海辺』で膨らんだ蕾のごとき視点は現代どのように花開いたか。『センス・オブ・ワンダー』と同じ系譜にある自然環境を詠った文学。『沈黙』から半世紀以上の時が流れ、事態は悪化しているのか、良い方向へ舵を切れたのか、それが気になって読んでみたが、彼女の仕事が与えた後代への影響の大きさを確認できた。また「ネイチャー・ライティング」と呼ばれる「自然とは何か」を語る文学ジャンルがあることを知ることができ、大きな収穫だった。2019/04/17