出版社内容情報
水生生活に適応した哺乳類――鰭脚類.かれらは水中で餌を食べ陸上で出産するという,矛盾した二つの面を抱えながらたくみに生きてきた.その生きざまを追い続けた二人の哺乳類学者が,進化,生態,さらにヒトとのかかわりなどの視点から,かれらの自然史を描き上げる.
内容説明
1960年代、日本で鰭脚類の研究(生態・社会・形態・繁殖生理・寄生虫など)をしていた人々は数えるほどしかいなかった。そのなかで大槌に集まった研究仲間は、ひとつの研究集団―海獣談話会をつくることになった。その後、北海道東岸のゼニガタアザラシの保護に取り組むことになり、ゼニガタアザラシ研究グループが誕生した。最近になってトドの生態と保護に関する研究が本格化した。オットセイの研究を開始してから30年以上が経過し、研究は格段に厚みを増している。本書の出版の目的は、このような情況にあって、ひとまず私たちの研究を総括し、問題点を整理し、今後の研究の見通しを得ることであった。そして、若い活力に満ちた世代や野生動物に興味をもつ人々に鰭脚類を紹介したいと考えた。
目次
第1章 鰭脚類―その動物学的特徴と日本産の鰭脚類
第2章 進化―形態と機能の系譜
第3章 回遊―オットセイにみるその生態
第4章 猟業史―ラッコ・オットセイと人間の関係
第5章 保護―鰭脚類との共存をめざして