内容説明
日本における地震予知計画が発足してから、すでに20年が経過した。この間、各種測量の強化や観測所の新設・整備によって、地震前兆と思われるデータが急速に蓄積されてきた。地震予知を実行するためには、当然前兆現象に依存するわけであるが、従来はデータ不足もあって、前兆現象の性質を十分に理解することは困難であった。しかしながら、データ数が著しく増加したこともあり、現実に実行することを要求されている東海地震の短期的および直前予知の根拠を固めるためにも、各種前兆現象の諸性質を可能な限り明らかにする必要がある。上記のような目的意識のもとに、日本において集積された地震前兆データを洗い直してデータ・ベースをつくることが本書のおもな目的である。
目次
地震予知要素としての前兆現象―地震予知計画のバックグラウンド(長期的前兆;短期的前兆)
日本における地震前兆事例カタログ
地震予知計画による典型的前兆事例宏観異常現象(地形変化;鳴動・前震;動物異常行動;異常気象・植物異常;発光現象;地下水・温泉;超能力)
大地震の前兆―各論と比較(安政東海地震;安政江戸地震;関東地震;東南海地震;伊豆大島近海地震)
前兆現象の諸特性(先行時間とマグニチュード;出現距離とマグニチュード;前兆現象の特性の物理的解釈)