出版社内容情報
現代マレーシア連邦の一州ヌグリ・スンビランの王権儀礼を精細に記述・分析する文化人類学の成果.マレー社会の地方慣行や文化伝統に根差した王国の儀礼・象徴体系が,連邦国家の政治文化的パラダイムへと昇華していくメカニズムを究明し,現代国家論に一石を投ずる.
内容説明
本書は、王権儀礼の民族誌的記述・分析を通じて、東南アジアのマレー社会における政治文化の範型(パラダイム)を探り、あわせて、国家や権力が人々に作用し浸透するメカニズムを考察しようとするものである。
目次
1 概念の整理と予備的考察(マレー社会と王権―マレー人とは誰か?;マレー社会における共同体理念の諸潮流;王権、儀礼、国家の関係)
2 ヌグリ・スンビラン王権神話・儀礼の考察(ヌグリ・スンビラン王権の神話論的構成;ヌグリ・スンビランの即位儀礼に見られる王権の理念構成;拝謁儀礼および叙勲儀礼の現代的意味)
3 現代マレーシアにおける王権パラダイム(マレーシア国王制度のローカルな基盤とグローバルな枠組;国王の就任・即位儀礼を通して見た国家;「先住民」、中間層、エスニシティと王権)
著者等紹介
富沢寿勇[トミザワヒサオ]
1954年東京都に生れる。1984年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得中退。1984年東京大学教養学部助手。1988年静岡県立大学国際関係学部助教授。現在、静岡県立大学国際関係学部教授、学術博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。