出版社内容情報
暗黙のうちに,教育は「より有能な」「より強い」人間を求め,合理性による支配・システムへの順応・交換価値を次代の子らに刷り込んできたことはないか.人間の「弱さ」から発想を転換すると見えてくるほのかな希望の教育学をめぐり,教育人間学を主導する一線の研究者たちがいま企てる,試みの論集.
目次
序章 教育学のパトス論的転回のために
第1章 「啓蒙の弁証法」を生きる―「祈りとしての啓蒙」と「相互生成」
第2章 木村素衞におけるイデアと救済
第3章 蒙を啓くパトス/“蒙”に開くパトス
第4章 パトスをめぐる啓蒙と野蛮の反転交錯―アドルノによるボルノウ批判の再検証
第5章 「存在の謎」から人間形成を語り直す地平を求めて―フランクルの主題“意味/受苦”を軸として
第6章 経験とパストのむすぼれをめぐる思考―アーレントとアガンベンとともに
終章 ロゴスに根づくパトス、そして、ヴェルブムに息吹くパトスへ