バリアフリー・コンフリクト―争われる身体と共生のゆくえ

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  • サイズ A5判/ページ数 246p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784130520249
  • NDC分類 369
  • Cコード C3036

出版社内容情報

社会制度、そして身体と生のバリアフリーとはなにか。東京大学のプロジェクトが発信するバリアフリーのためのガイドブック。

社会制度のバリアフリーは,科学の進展だけでは実現せず,また新しい問題の地平をひらきもする.人口内耳,障害者雇用制度,リハビリテーション……,立場によって目標が異なるばかりか,「争われる」バリアフリーすらある.東京大学のプロジェクトが発信する,現代社会の「バリアフリーのテキスト」.

序章(中邑賢龍)
第I部 バリアフリー・コンフリクトの実状
第1章 バリアフリーはなにをもたらしたのか?(中邑賢龍)――「能力」の保障・代替・増強のいま
第2章 役立つはずなのに使われない……――支援技術の開発と利用の狭間(巖淵 守)
第3章 人工内耳によって「ろう文化」はなくなるか?――ろう者の言語権・文化権と「音を聞く権利」を両立させる(大沼直紀)
第4章 障害者雇用って本当に必要なの?――制度の功罪と雇用の未来(岡 耕平)
第5章 読み書きできない子どもの難関大学進学は可能か?――障害学生への配慮と支援の公平性(近藤武夫)
インターミッション:「障害者」って誰?
第II部 バリアフリー・コンフリクトの論理
第6章 障害者への割引サービスをずるいと感じるあなたへ――「公平性」をめぐるコンフリクト(飯野由里子)
第7章 障害者のアートが問いかけるもの――「表現」をめぐるコンフリクト(田中みわ子)
第8章 裁かれない人がいるのはなぜか?――「責任」をめぐるコンフリクト(星加良司)
第9章 聴覚障害者のアイデンティティ・トラブル――テクノロジーの利用によって生じるコンフリクト(中野聡子)
第10章 「回復」と「代償」のあいだ――身体変容によって生じるコンフリクト(熊谷晋一郎)
あとがき
読書案内
コラム多数(上田一貴、大河内直之、ほか)

【著者紹介】
中邑賢龍:東京大学先端科学技術研究センター教授

内容説明

物理的障壁だけでなく、制度、文化、意識の衝突や対立にあえて焦点を当てたひと味ちがう“バリアフリーの教科書”。

目次

第1部 バリアフリー・コンフリクトの実情(バリアフリーは何をもたらしたのか?―「能力」の補償・代替・増強のいま;役立つはずなのに使われない…―支援技術の開発と利用の狭間;人工内耳によって「ろう文化」はなくなるか?―ろう者の言語権・文化権と「音を聞く権利」を両立させる;「障害者雇用」って本当に必要なの?―制度の功罪と雇用の未来;読み書きできない子どもの難関大学進学は可能か?―高等教育における障害学生への配慮と支援の公平性)
第2部 バリアフリー・コンフリクトの論理(障害者への割引サービスをずるいと感じるあなたへ―「公平性」をめぐるコンフリクト;障害者のアートが問いかけるもの―「表現」をめぐるコンフリクト;裁かれない人がいるのはなぜか?―「責任」をめぐるコンフリクト;聴覚障害者のアイデンティティ・トラブル―テクノロジーの利用によって生じるコンフリクト;「回復」と「代償」のあいだ―身体変容によって生じるコンフリクト)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いとう

4
何かをくくれば何かがあぶれる。バリアフリーによって健常者と障害者の障壁を取り去ったつもりでいても、バリアフリーというくくりによって囲われる障害者とはじかれる障害者がいたり、アファーマティブアクション(ポジティブアクション)というバリア対策によって、あずかれる恩恵からはじかれたように感じる健常者もいる。 バリアフリーには常に両義性が潜んでおり、健常者や障害者に一方的に講じられるものではなく、社会に共生する者同士が共に形成していかなければ、「障害」がいつでも「障害者」にかわってしまう。2024/01/23

t80935

2
バリアフリーとはもはや高齢者や障害者のためのものではない。本書は、バリアフリーの必要性や方法論ではなく、そこに生じる問題とどのように向き合うのかに力点が置かれている。コンフリクトを通して社会を見るという視点を導入することで、これから私たちがチャレンジしていかなければならない課題をあぶりだす。本書で扱われているコンフリクトは、あるバリアが他の人のバリアとなる問題、バリアフリーの恩恵を受けられる人とそうでない人との間の不公平感の問題、バリアフリーが両義性を伴うものとして経験されることで生じる内的な葛藤など。2014/06/18

tu-ta

1
長い長い読書メモ書きました。 付箋をつけたところを中心に再読したんだけど、読めてない部分がたくさんあったことに気がつきました。読書メモは http://tu-ta.at.webry.info/201502/article_3.html 2015/02/14

tu-ta

1
第4章 障害者雇用って本当に必要なの?――制度の功罪と雇用の未来(岡 耕平)』という章のタイトルに惹かれて図書館で借りた。この4章、タイトルは少し誇大広告かなぁという印象。ただ、後半の理論の部分、とりわけ飯野さんのところは面白い。2015/01/19

hgwReo

0
ざっくり言えば、障害者への配慮の加減についての本。制度を利用できる人とそうでない人という区別がされる限り起こりうる対立(コンフリクト)の、それぞれについて根気よく丁寧に折り合いをつけていくことが、暮らしやすい人を増やすことにつながっていくのだろう。現状維持じゃ勿体ない。2013/02/15

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