出版社内容情報
戦後,家族単位(=「夫婦と未婚の子」)の戸籍制度が成立し,人びとは今もなお戸籍の制度と意識に振り回され続けている.制度導入に関わった法学者や法務官僚の「回顧談」,新聞の「身の上相談」の記事を通して,戸籍と家族から日本社会を再考する.
内容説明
戸籍の何が問題なのか。戦後、家族単位(=「夫婦と未婚の子」)の戸籍制度が成立し、人々は今もなお戸籍の制度と意識にふりまわされつづけている。制度導入に関わった法学者や法務官僚の「回顧談」や新聞の「身の上相談」記事を通して、戸籍と家族から日本社会を再考する。
目次
第1章 戸籍の何が問題なのか
第2章 「家族単位」という選択―民法・戸籍法改正案起草委員・幹事の「回顧談」から
第3章 「家族単位」成立の時代性―法務官僚の「回顧談」から
第4章 戸籍と格闘する人々―婚外子にまつわる「身の上相談」から
第5章 戸籍の不条理―結婚・離婚・再婚にまつわる「身の上相談」から
第6章 家族政策としての戸籍制度
著者等紹介
下夷美幸[シモエビスミユキ]
1962年鹿児島県生まれ。1988年お茶の水女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。現在、放送大学教養学部教授/博士(社会科学)。著書に『養育費政策の源流―家庭裁判所における履行確保制度の制定過程』(法律文化社、2015年第27回尾中郁夫・家族法学術奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カモメ
6
土地に属すべしというイデオロギーにより戸籍制度の基盤がなされていたが、人々の移動が激しくなると住民登録として機能しなくなり、住民登録制度の前進となる寄留法が制定されたことで身分登録制度として確立されていく。家制度を廃止するにあたって戸籍も全廃すべきであり個人カード方式の提案がなされたが紙不足により批判され、最終的には「夫婦と未婚の子」単位という「家」単位と「個人」単位の中間でまとまる。その後も戸籍のイデオロギー面を重視するか、身分登録機能を重視するか議論がなされるが財政問題を理由に実現性が否定される。2024/04/14
朝ですよね
4
「夫が愛人との子供を認知して自分たちの戸籍に入れていたが、削除できないか(p169)」という配偶者からの身の上相談が載っている。本書はこれを戸籍制度に振り回されている例として挙げており、今の戸籍制度を見直し、個人単位の身分登録制度に変えていくことがその解決策であるように論じている。果たしてそうだろうか?確かに個人単位になれば愛人の子供と同じ戸籍ではなくなるが、妻-夫-愛人の子という関係が制度上消えるわけでもない。これで苦しまなくなる方もいるかもしれないが、本質的な解決ではなく表面的な対応だろう。2023/02/17
しんさん
2
GHQ占領下の民法改正の際、紙不足と事務処理能力の限界で個人単位の戸籍に切り替えることができず、それが現在までの家族観につながってるという話で、めちゃくちゃ面白かった。家族、戸籍、我が子かわいさにまつわるお悩み相談集が泣ける2025/05/02
チエコ
0
戸籍は個人単位のほうがいいのでは?とずっと思っていたが、なぜ家族単位が採用されたのかなど経緯がわかりやすかった(紙不足)。2025/05/30