出版社内容情報
ヨーロッパの歴史と思想に基づく暴力論を踏まえ,現代世界における解放をめぐる暴力の実態に注目して,政治的暴力について考察する.脱植民地化や革命,民主化に関わる暴力からテロリズムまで,国際社会学・アフリカ研究を牽引してきた著者ならではの暴力論.
目次
第1章 自由のための暴力
第2章 非暴力の理念と現実
第3章 革命と暴力(1)―理想と現実
第4章 革命と暴力(2)―後進国革命と国家暴力
第5章 植民地支配と現代の暴力
第6章 民主主義と暴力
著者等紹介
小倉充夫[オグラミツオ]
1968年東京大学文学部卒業。1973年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1973‐90年津田塾大学学芸学部(国際関係学科)講師・助教授・教授。この間、サセックス大学開発研究所(新渡戸フェロー)(1977‐79年)、在ザンビア日本大使館専門調査員(1982‐84年)。1990‐95年上智大学外国語学部(国際関係副専攻)兼国際関係研究所教授。1995‐2013年津田塾大学教授。現在、津田塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
2
自由のための暴力: 抵抗と暴力 暴力の代償 テロリズムをめぐる問題 非暴力の理念と現実: 非暴力の主張と暴力批判 手段としての非暴力 非暴力の条件と限界 宗教と暴力・非暴力 革命と暴力(1)―理想と現実 革命と暴力(2)―後進国革命と国家暴力 植民地支配と現代の暴力: 支配の正当化と暴力 独立と解放の乖離 国家暴力の正当化 「合意なき国家」の形成と暴力 民主主義と暴力: 民主主義の暴力 「合意なき国家」の民主化と暴力 冷戦後の民主化と暴力2021/09/14
晴天
1
大小の不満はあっても、それなりに安定した社会において、それなりに納得のゆく営みをしていると信じる者にとっては、社会を乱し体制を揺るがす暴力は悪に見える。しかし現状が不正義であり、搾取と収奪とをされ、理不尽が蔓延り精神まで蹂躙され、体制の枠内ではそれが改善される見込みもないと信じる者にとっては、暴力こそが自由への道に映る。そうした暴力への渇望が沸く道筋を類型化して整理する本書は、暴力で支配者を打倒し何かを勝ち取った、あるいは勝ち取ろうとした共有経験に乏しい社会に暮らす者にこそ不足しがちな視点を齎してくれる。2021/09/29