内容説明
日本とイギリス、それぞれの社会に生きるエスニック・マイノリティ。もっとも身近な「他者」に、社会はどのような境遇を強いてきたのか。定住外国人の権利とは何か。国際化する世界に、今後どのような未来が待っているのか。それぞれの植民地支配と戦後の歴史をふりかえり、また現在の問題点をとりあげながら、外国人に向けられている視線を問いなおす。
目次
1章 参政権への問いかけ
2章 イギリスのアイルランド支配
3章 日本の近代化と東アジア侵略
4章 在英アイリッシュと在日コリアンの現在
5章 市民権の日英比較
6章 グローバリゼーションのインパクト
7章 国家によらない交流する市民
著者等紹介
佐久間孝正[サクマコウセイ]
1943年生まれる。1970年東北大学大学院教育学研究科教育学専攻博士課程中退。現在、東京女子大学名誉教授、元立教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
4
15-41 オールカマーの置かれている「市民」としての状況比較 英国と植民地アイルランド、日本の植民地主義の被害者 韓国朝鮮とアイルランド。 日英を直接比較せず植民地化の関係でアイルランドとの関係として見る。 イギリスとアイルランドの関係は、東アジアにおける日本と朝鮮半島の姿に重ね合わせられる。旧宗主国に生きる植民地出身者たちの歴史と生活に目をこらし、2つの社会における外国人市民の権利を考える。2011/07/12
shizzy
1
図書館本。幕末明治の日本人がロンドン大学への留学が多いのはオックスブリッジがプロテスタントしか入学させなかったからだとか、イギリスがアイルランドを手に入れたかったのはヨーロッパ大陸のカトリック国とアイルランドを手を結ばせたくなかったからとか、なるほどと思う例がいくつか乗っていて面白い。日本の部分に関しては作者感情が強く関係し、書いてあること全部に頷くことは出来ない。帰化せずにその国の人と同じ資格を貰うことはできないのは他の国でも同じではないだろうか。文化背景、独立への道も違う日英比較は無理がある気がした。2014/10/25
James Dougherty
1
朝鮮とアイルランドにおける植民地としての歴史、そして、在日コリアンと在英アイリッシュの法的・社会的立場について比較しつつ述べる好著。基本的に良識的かつ平易に書かれ、読みやすい。ただ、ところどころざっくりとした「一般的な見解」を典拠なく引っ張ってきているところもあり、急いで書かれた感はする。また、イギリスの統計数字を挙げる場合など、明らかに典拠のある場所で典拠を示していないことがあるのも、少し気になった。2011/08/15
の
1
日本のこれまでの代表的な外国人である在日韓国・朝鮮人の置かれている状況を、イギリスのアイルランド人と比較することによって日本での外国人事情を推し測ろうというもの。最初に言ってしまうが、人権もある程度守られていた時代での半世紀の従属と、800年以上に渡って全てが搾取される従属を比べることが、果たして何の意味を持つのか。そして予想通りの「お利口さん」な答えなのもなぁ。唯一、現代のグローバリゼーションの中で人の往来が活発化したことでの問題点や利益点の部分は評価。全体のバランス悪すぎ。2011/07/25