出版社内容情報
中国のWTO加盟以降,日中の経済依存度は深化してきたが,皮肉にも政治的には,2000年以降,相互不信が高まってきた.日中の相互不信の構造を米国要因と日中米3カ国関係から読みとく,新しい日中関係の視角.
目次
第1章 理論的基盤と分析枠組み―誤認知の形成と再生産の構造
第2章 二〇〇〇年代の中国における対日認知と政策
第3章 二〇〇〇年代の日本における対中認知と政策
第4章 二〇一〇年における相互認知の悪化
第5章 政治的および知的対立の激化―二〇一二‐二〇一四年
第6章 日中戦略接近と「米国中心主義思考」脱却の始まりか―二〇一五年‐現在
著者等紹介
張雲[チョウウン]
新潟大学大学院現代社会文化研究科准教授。北京大学法学博士、早稲田大学国際関係学博士。マサチューセッツ工科大学(MIT)、アメリカの戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies,CSIS)、北京大学・グロバールガバナンス研究センター、経済広報センター、シンガポール国立大学、南洋理工大学S.Rajaratnam School of International Studiesなどフェロー、訪問学者を歴任。主な研究分野:日中米関係、国際関係理論、中国政治外交、アジア地域統合。日本語、英語、中国語で学術論文を多数発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
21
日中の知的エリートと専門家がお互いに相手国をどのように認知しているかを分析し、相互不信が生み出されるメカニズムを事例研究を交え解析。一国の他国に対する認知形成の変数を直接認知と間接認知に分け、日中は米国を通して相手国を見る間接認知によって政策決定の基盤が形成されてきたと著者は見ている(それによって両国関係が安定していた時代もあった)。2010年以降、直接認知の試みもなされたが米国中心の思考は脱却できない。◇日中の相互認知形成の必要性は理解できるが、とりわけ今の日本にとっては難しい課題かと思われる。2022/01/16