目次
第1章 スハルト体制と一九九八年政変をどう考えるか―問題提起と分析視角
第2章 翼賛型個人支配としてのスハルト体制
第3章 一九七〇年代のゴルカル―模索と停滞
第4章 ゴルカルの再編と社会的エリートのリクルート
第5章 巨大与党のジレンマ―自立の試みとその挫折
第6章 スハルト・ファミリーの台頭とゴルカル内部の亀裂
第7章 一九九八年政変とスハルト体制の崩壊
終章 個人支配の終焉とインドネシアの民主化―敗者なき体制転換
著者等紹介
増原綾子[マスハラアヤコ]
1969年東京都生まれ。1994年東京大学教養学部教養学科国際関係論専攻卒業。2007年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了(学術博士)。2009年亜細亜大学国際関係学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
可兒
2
最初はスハルト体制がスルタン主義(笑)と両断されるのが不思議で手に取った本だったのだが、ガチで二十世紀後期のインドネシアにおける政治体制の変質と解体を追う本でした。インドネシア現代史の一部を切り取った本としてもすばらしい。興味がある人は読んでみてください。詳しすぎるので、私は何度か挫折しかけましたが2012/04/14
kenken
1
大量の資料から丁寧にスハルト体制崩壊の経緯と背景を活写。インドネシアに興味がある読者のみならず広く政治体制や民主化を研究する研究者や学生に読んで欲しい好著。2010/12/30
Kenji Suzuya
0
インドネシアのスハルト政権を、包括的なパトロネージ分配と弱い抑圧を特徴とする翼賛型個人支配体制とし、パトロネージ分配による政治コントロールとその道具・部隊としての与党ゴルカルに着目して分析する。ゴルカルが参加勢力を拡大していく過程で、政権外の勢力ともつながりが保持されたことが、1998年の議会を通じた穏健な権力移行に繋がったと指摘する。また、スハルトによるパトロネージ分配の失敗が、支持基盤の弱体化になり、ゴルカル内部から離反者を生み出したとも指摘する。2014/12/07