出版社内容情報
カナダの複雑な連邦制を、憲法の構成原理から、連邦と州の関係、政党・選挙、経済統合、福祉政策まで多面的な視点で描く。ケベックをはじめとする多元的な現実と国家統合とのあいだをめぐり、今なおダイナミズムの只中にある多様性と統一のジレンマの今後を展望する。
内容説明
本書はカナダの連邦制度の構成原理やメカニズムを多角的に分析したものである。カナダにおいては一九六〇年代以降、ケベック州におけるフランス系カナダ人によるケベック・ナショナリズムや分離主義が高まり、これに対応する連邦政府の動き、そして憲法改正論議など今もゴールのみえない試行錯誤が展開されている。そこで本書では、カナダの連邦制度がどのような原理で作動しているのか、他国との比較の観点もまじえ、また具体例をあげつつ検討した。
目次
第1部 連邦制度と憲法の枠組み(カナダ連邦制度の分析枠組み;カナダの政治的枠組み;カナダの連邦形成と憲法制度―歴史的・政治的な視点からの分析)
第2部 連邦・州政治のダイナミズム(州政府と地方自治―連邦国家の主役たち;選挙制度の仕組みと連邦政治;カナダの政党システム)
第3部 政治・行政・経済の相互関係(カナダにおける政策と行政の仕組み―憲法・司法判決・財政の視点から;連邦国家における経済統合;カナダにおける福祉国家の進展;一九八二年憲法とカナダ政治の変容―カナダ政治のゆくえ)
著者等紹介
加藤普章[カトウヒロアキ]
1955年生まれ。慶応義塾大学法学部および同大学大学院修士課程をへて、カールトン大学大学院(カナダ)より、1986年にPh.D.取得。大東文化大学法学部教授
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