出版社内容情報
キリシタン問題を通して,文化接触による「横からの変革」を提起した注目すべき年度講義.これの禁圧によって,思想や文化への政治の優位が決定的となった.さらに,「閉じた社会」の精神構造をめぐって,幕藩体制の統治原理と儒教の正統化を説く.巻末に第四~第七冊の総索引.
内容説明
文化接触による横からの変革を提起した、注目すべき講義。思想・文化に対する政治の優位を決定づけたキリシタン禁制から、鎖国による「閉じた社会」の精神構造へ。―第四~第七冊の総索引を付す。
目次
第1章 所与と前提(空間的所与に規定された日本のカルチュア;深層に沈澱した思考様式・世界像;統治構造の持続的パターン)
第2章 キリシタンの活動と思想(「西欧」との遭遇;布教活動と反応;教義をめぐる思想的諸問題 ほか)
第3章 幕藩体制の精神構造(幕藩体制と統治原理;社会生活と文化のパターン)
第4章 近世儒教の歴史的意義(江戸時代における儒教の地位―いわゆる「正統化」の意味;イデオロギーとしての儒教の諸主要範疇;修正・変容・対立の諸側面)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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【五冊】鎌倉仏教によって立ち現れた主体はその後、仏教の王法との再癒着や聖価値の審美的価値への埋没などによって俗化傾向を強めるが、丸山は、鎌倉仏教と同時代の日本思想史のなかに「武士」という新たな自我意識が生まれたことに注目する。武士のエートスとは、「命惜しむな、名こそ惜しめ」(太平記)に現れる強い名誉感であるが、これが、宗教的範疇が世俗化された形において仏教と結合、思想的洗練と合理化が進み、以来、日本の独自な自我意識として成長、歴史の中で現れることになる。(→戦国と幕末に現れる自我意識)2017/06/10
kotsarf8
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キリシタンの布教そして弾圧から、江戸時代の体制論まで語られた1966年講義。この講義録を読んでいると、浄土真宗もキリシタンも江戸儒学も、particularisticな政治権力に対峙できる普遍性を獲得する「あと一歩」のところで、敗北or体制の激変となり潰える、というパターンが多い感を受け、日本の思想史に対して悲観的になってしまう。2012/03/24
D.N
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本文自体はページ数よりは全然長くない2010/02/10