出版社内容情報
戦中の記念碑『日本政治思想史研究』を引き継ぎ,封建社会の完成がすなわち崩壊であり,近代への序曲となるプロセスを描きだす.半世紀の時を越えてよみがえる初期講義には,「戦後」という時代の歴史意識が鮮明に刻印されている.(解題:宮村治雄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruka Fukuhara
6
自分が受けた日本政治思想史の講義とは随分と雰囲気が違った。まず外来語が多い。あまり使われない言葉が原語・カタカナ問わず頻出している。また、より網羅的・幅広いテーマについて論じている印象を受けた。この辺りは教授の個性もあるのだろうが、時代背景や知的水準の差も大きそうな気がする。ややごちゃごちゃしている感は否めない。2017/03/31
またの名
5
ドイツ観念論的な語彙を用いながら古い思想の引力に距離を置き、徳川時代の思想史を復元する講義。宇宙の根本原理たる太極=理と気からの万物の発生を説いた朱子の「知を致すは物の理を格るに有り」が、モノへの客観的態度からモノへ働きかける陽明学の行動的態度に解釈し直され、「理は以て万化の枢紐たるに足らず」と伊藤仁斎らによる理sageを経て、西鶴ら色欲中心の町人文化を横目にしつつ、本居宣長の国学に至る。「夷狄の教養を混ぜるは大和心ではない漢心」「とか言って善悪を峻別するお前こそ漢心」等とやり合うナショナリズムの時代へ。2022/07/02
Hideki Ando
4
江戸時代(特に元禄から享保)の封建制分析と、それを補強する朱子学や国学についての話が非常に面白い。一見堅固に見える体制の内部に崩壊のきっかけがあるとの知見が面白い。しかし、昔の学生は偉いと思う。実に難しい。2010/08/30
トキ
2
1967年度(第7冊)と比べて基本的な日本思想史評価は変わっていない。戦後直後の講義の為か、後年よりも封建制の諸矛盾という経済史的観点が政治思想史と同時に叙述されている。思想と経済の関係という点でヴェーバー的とも言えるが、この巻はマルクス的な観点や着目が強いと思う。先に書いた封建制の諸矛盾というのがそれである。荻生徂徠と本居宣長に積極的な評価を与えているのは意外だった。国学とは復古主義的ナショナリズムというイメージがあり、丸山も指摘しているが、それより儒教=朱子学への批判の側面の方が彼にとって重要である。2023/02/05




