出版社内容情報
伝統中国法の全体像を西洋と日本との比較を交え描き切る。第一人者の講義の集大成として書き下ろす、待望の概説。
内容説明
一君万民の国制と市場的・契約的な社会を世界史上さきがけて確立した中国は、いかなる法秩序を備えていたのか―。社会の一般的特徴の析出から、民・刑事の法と裁判の実態解明、更に新たな法モデルの定立まで、日本と西洋との比較を踏まえて伝統中国法の全体像を描出し、その特質を浮き彫りにする。
目次
序章 伝統中国の法秩序
第1章 人と家
第2章 生業と財産
第3章 社会関係
第4章 秩序・紛争・訴訟
第5章 聴訟―裁判と判決の社会的基礎
第6章 断罪―犯罪の処罰と判決の統一
第7章 法・権力・社会
第8章 伝統中国法と近代法
終章 文明を跨いだ法の語り方
著者等紹介
寺田浩明[テラダヒロアキ]
1953年東京都生まれ。1977年東京大学法学部助手。1986年千葉大学法経学部助教授。1993年東北大学法学部教授。2002年京都大学大学院法学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
大学法学部の講義テキスト。中国清代を中心とした法秩序を「伝統中国法」と捉え、契約文書や裁判文書などからその特質を解明し、伝統中国法と西洋伝統法および近代法の位置関係についても解説。◆かなり難解な面もあるが、裁判制度も公論型の中国とルール型の西洋で、夫々の利点や制約・難点がある事は理解できた。単に法制史学とはいえ、突き詰めれば法というプリズムを通して、国家や社会だけでなく文明論まで議論が広がり、その射程の広さとダイナミズムに圧倒される。途轍もない作品に手をつけてしまったとの妙な高揚感に包まれた。2018/03/17
さとうしん
10
清代のみを対象としたものだが、中国の法制というか、更に範囲を広げた近世中国の社会規範・社会生活の面にまで広げてその特色や問題点をうまくすくい上げているのではないかと思う。印象に残ったのは、最初の紳士の人口に締める割合の話、秘密結社の合図の恣意性の話、法治=普遍性、人治 =恣意性という前提をまず疑うという視点である。2018/09/08
Kai Kajitani
5
この本の書評を神戸大学機関レポジトリKernelで公開しています。http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/90005029.pdf2018/10/06
oukanmou
1
中国明清時代の法制史研究の大家・寺田浩明教授によってなされた、中国清代の法制度の「体系(自己完結した全体像)」を描き出そうとする壮大な試み。書評:http://wanghanmo.blog.jp/archives/16596519.html2019/03/09
check mate
1
「西欧近代」の「法」の特異性が際立つ、ようにも思える2018/07/20