出版社内容情報
日本とフランスの近世史の研究者による歴史学の成果をふまえ、現代の歴史学の潮流が浮き彫りになる比較研究。日本史と西洋史、そして社会史や都市史といった枠組のなかで議論されてきた「身分」とは何かという問いを、さらに追究することによって、新たな歴史学の展開を試みる。
目次
序章 交差する歴史家、交差する過去―「身分」をめぐって
1 身分を語る(比較から交差へ―アンシアン・レジーム期のフランスと江戸時代の日本の社会力学を交差させる;日本近世の身分と社会;慶長一七年、院内銀山と周辺地帯の関係構造)
2 書くこと、読むこと、残すこと(「人証」か「文証」か?―近世における入会山争論の内済と裁許;稀有な記述行為―近世フランス村落の「書かれたもの」と社会的地位;一八世紀後半パリにおける周縁者と「書く」行為―国王に対する偽の陰謀告発事件を例に)
3 財とジェンダー(貴族身分・「家」・領主所領―十六‐十八世紀;妻の身分・女性相続人の身分―女性と王家世襲財産;武家の女性と財産分与―徳川家康側室の事例から)
4 揺らぐ身分(江戸幕府御家人の身分と家;対立する利害に引き裂かれて―長崎のオランダ通詞の身分を考える;啓蒙の世紀と軍事改革―想像/創造された兵士たち)
終章 「社会」の胎動―近世国家・政治社会・身分制
著者等紹介
高澤紀恵[タカザワノリエ]
法政大学。フランス近世史
カレ,ギヨーム[カレ,ギヨーム] [Carr´e,Guillaume]
フランス社会科学高等研究院。日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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