出版社内容情報
近代日本は「熱帯医学」と「開拓医学」という2つの植民地医学の体系「帝国医療」に植民地や占領地域の統治のための明確な役割を持たせ東アジアの再編をめざした。台湾統治における衛生行政を起点とし、八重山、満洲、朝鮮、中国などで展開されたマラリア対策の多様な問題系を抉り出し、東アジアの統治秩序や広域秩序の形成に与えた影響を検討する。復刊に刊行にあたり、「補論 北海道開拓とマラリア」(書き下ろし)を増補。
内容説明
マラリアをめぐる物語が剔抉する近代日本の姿。「感染症の歴史学」による記憶の保全と継承。
目次
序章 マラリアは語る
1 植民地医学・帝国医療とマラリア(日本の台湾統治とマラリア;二〇世紀前半、八重山のマラリア対策―台湾経験の位相)
2 植民地医学・帝国医療の構造(近代日本の衛生学と植民地医学・帝国医療―伝染病研究所・植民地医学校・社会医学;戦争と植民地医学)
3 第二次大戦後、東アジアのマラリア(米軍統治下、八重山のマラリア対策;中国のマラリア対策―愛国衛生運動の歴史的位置;戦後日本のマラリア研究―断絶と継承)
結論 東アジアにおける植民地医学・帝国医療
補論 北海道開拓とマラリア
著者等紹介
飯島渉[イイジマワタル]
青山学院大学文学部教授。1960年埼玉県生まれ。東京学芸大学、同大学院(修士)、東京大学大学院(博士)に学ぶ。大阪市立大学文学部助手、横浜国立大学経済学部助教授、教授を経て、現職。文学博士(東京大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。