内容説明
「イギリス式庭園」ないし「風景式庭園」をめぐって、十七世紀から十九世紀のおもにイギリスで、歴史上類のないほど多くの庭園美学理論的な言説が現れた。本書はこれを精査することで、イギリス風景式庭園を支えた思想の歴史的展開を探るものである。
目次
序 楽園と普遍言語
第1部 風景式庭園の淵源(十七世紀)―“閉ざされた庭”から“開かれた庭”へ(“閉ざされた庭”のパラドックスと庭園破壊―十七世紀前半;復楽園としてのイギリス―ピューリタン革命期のハートリブ・サークル;シヴィック・ヒューマニズムとエピクロス主義―王政復古期)
第2部 公共の精神からの風景式庭園の誕生(十八世紀前半)―主導的言説の再精査(庭園の立憲君主制―アディソンにおけるブルジョワ性と相乗的関係化;不協和な協和―ポープにおける商品化批判と両義性の詩学)
第3部 風景式庭園の変質(十八世紀後半から十九世紀へ)(夢想の美学の成立と解体―完全な“開かれた庭”のイリュージョンとその消長;“開かれた庭”の終焉―レプトンにおける十八世紀的プログラムの脱=神話化)
結 内部としての庭園/外部としての庭園
著者等紹介
安西信一[アンザイシンイチ]
1960年千葉県に生まれる。1985年東京大学文学部第一類美学芸術学専修課程卒業。1991年東京大学大学院人文科学研究科美学芸術学専攻博士課程修了。博士(文学)。現在、広島大学総合科学部助教授。主要著作に共著『芸術文化のエコロジー』(勁草書房、1995年)、『諸芸術の共生』(渓水社、1995年)、『芸術学の100年』(勁草書房、2000年)。翻訳にマーゴリス「結局のところ、芸術作品とは何か」(広島大学比較文化ブックレット、1997年)、シュクドラレック「アイデンティティー、大衆文化、教育」(同前、2000年)等
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