出版社内容情報
日本の伝統的な芸術や芸能、武道の分野のなかで重要な役割を担い、日本の文化全般にとって美学的で哲学的な原理として長く論じられてきた間(ま、あいだ、あわい)や間合いについて生態学的現象学の視点からそのダイナミズムを明らかにする。
内容説明
「間合いの本質とは、このリズムにこそある」生態学的現象学の視点から明らかになる間(ま、あいだ、あわい)や間合いのダイナミズム。
目次
第1章 生態学的現象学とは何か
第2章 技と型、その音楽的本質
第3章 間合いとリズム
第4章 花と離見の見
第5章 流体としての身体
第6章 間合いとアフォーダンス
著者等紹介
河野哲也[コウノテツヤ]
立教大学文学部教育学科教授。博士(哲学)。専門は哲学、倫理学、教育哲学、NPO法人「こども哲学・おとな哲学アーダコーダ」副代表理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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無重力蜜柑
13
生命も世界もリズムだとか流体だとか、よくこれだけデカい主張を連想だけでポンポンぶち上げられるなあと感心する。文体といい論理といい、およそ学問とは言い難い内容ではあるが、目当てとしていた武術論の部分はかなり面白かったので許す。自分が昔やっていたスポーツ空手にも「先の先」とか「後の先」という概念はあって、これらが彼我のリズムの相互干渉つまり同調と破壊であるというのは実感レベルで理解できる。ここで思い出すのが『SEKIRO』で、音ゲーと言われるあの剣戟アクションは実は思想レベルで武術の根幹に触れていたのかも。2024/05/01
shin_ash
6
間合いについての話である。このシリーズにしてはあまりギブソンを持ち出さずに、主に能と武芸を引き合いに出して「間」や「間合い」を論じている。テーマも抽象的である為か抽象的な表現が多く難解な内容であった。ただし、背景には生態学的な前提があるのだと仮定すると多少は理解しやすくなる気がする。自己とその周囲の世界と考えればその間はギブソン的には媒質なのだろうけど、個人としては間であって、普段はその存在を気にしない。これを能なりで説明する。自己(一人称)と世界(三人称)となんとなく捉えていたが、間を考える上で相手(ニ2023/05/14
人生ゴルディアス
3
哲学のつもりかもしれんけど文学なんよ。言わんとすることはなんとなくわかるが、はたと立ち止まると……。あと、なんでこの手の人って宇宙とか霊的とか平気で持ち出すんだろ。「水が宇宙の根源かもしれない」「卵が生命の本質なのだろう」とか完全にちいかわでして。はあっ!?の一言しかない。生態学的現象学とやらも、この人の言う生態学は生物学におけるそれではなく、環境と相互作用する自己程度の意味なので、現象学と意味重複してる気がするんですよね。というか使用する言葉の意味にもっと責任持ってほしい。『知の欺瞞』を読め。2023/10/22
聲
3
J.J.ギブソンのシリーズ、その2。生態学的心理学という考えの包括性を改めて思い知らされる。本書は、人と人との見えない「間合い」について。人と人との間にあるのは、ただのすかすかの空気ではなくて、満たされた水の中にいるみたいに、一方が動けばそれが相手にも伝わってしまうような、相関性を持ったものであるという認識。それが剣道の「後の先」の考えでわかりやすく書かれていた。2022/09/25