内容説明
対象知覚から他者理解まで。視点活動の役割と構造を生態学的に理論づける。解題 ハイブリッドな集合体としてのエージェンシー(上野直樹)/視点から声へ(宮崎清孝)を新規収録。
目次
1 視点のしくみ(見ることと視点;見なすことと視点;視点を動かすことによる理解;視点を見つけること)
2 視点の働き―より深い理解へ向けて(情景の理解と視点;“見る”視点と“なる”視点;心情の理解と視点;暗黙知としての視点)
著者等紹介
宮崎清孝[ミヤザキキヨタカ]
1950年生まれ。1973年東京都立大学人文学部卒業。1980年東京大学大学院教育学研究科中退。現在、早稲田大学人間科学部教授。専攻は認知心理学
上野直樹[ウエノナオキ]
1950年生まれ。1975年北海道大学教育学部卒業。1978年東京大学大学院教育学研究科中退。現在、武蔵工業大学環境情報学部教授。専攻は発達心理学・認知心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
6
第三巻。ギブソンやポラニーの有名な箇所が引用され、例えば一つの視点から見られた形は何ら対象の姿を規定せず、むしろ規定するのは名もない変形のプロセスであるというギブソンの変化率や、四つの、機能的側面、意味論的側面、存在論的側面、現象学的側面のポラニーの視点の図式など、現代でも興味深い。特に物語における読者の仮想的自己の位置を調べる実験は現代のVRなど仮想空間の延長に位置付け可能。最後に追記があり現代のデジタルデバイスと物理空間のハイブリッドになった視点のあり方の議論は原広司の身体性の複素数平面を思い出した。2020/05/31