出版社内容情報
大阪に実在した一人の女性巫者を通じて、近代日本の豊穣な民間信仰のありようを生き生きと描き出す。
目次
プロローグ 一九八三年、大阪、天王寺区
1 玉姫の契り
2 ままならぬ世
3 村での神がかり
4 火と水、地と空
5 仲立ちの世界にて
6 崩壊と繁栄の渦巻きのなかで
7 神と人の間の交換手
8 オダイはあと三年
著者等紹介
ブッシイ,アンヌ[ブッシイ,アンヌ][Bouchy,Anne]
フランス国立極東学院教授。16年間日本に暮らして以来、今もフィールド・ワークと研究活動を日本で続け、日本の民俗宗教研究を専門としている。フランス国立極東学院のほか、トゥールーズ大学と社会高等研究院で宗教民俗学、日本民俗学と修験道の研究指導にあたっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
64
《書物復権2023》フェア開催店にて、まさにそのフェアの特設売り場にて目にし、パラパラ捲ってこれは是非読まなければとゲットしたもの。こうした機会がないと巡り会わなかっただろう。このフェアで既に数冊入手している(悲しいかな我輩には高価で手が出ない本のほうが多い)。2023/08/14
ひろ☆
14
フランス人の民俗学の先生が書いた中井シゲノさんというオダイの半生。神事で、家庭はバタバタだし、夫は早死にするし、修行はあるし、神様に選ばれたっていうのも、それはそれでツライ。2016/07/12
よきし
11
大阪という都市で戦前から90年代までオダイと呼ばれる稲荷の系譜となる白狐の白高と名乗る神の憑依を受け神の声を伝え、病を癒やす者となった中井シゲノのライフヒストリーとなっている。亡くなる間際まで巫覡として神に仕え続けた一人の女性から、日本の民間信仰のリアルな息づかいと、憑依するということ、神と共に生きると言うことがどういうことであるのかが明かされていくのは圧巻である。このような世界が現代日本の都市部にも今なお息づいているのだと言うことに驚き、同時に納得もする。ぜひ多くの人に読んでほしい名著だ。2023/10/24
chaoss
1
民俗宗教者の女性の生涯を記述した本である。神様を降ろしてお告げを行う霊媒で、彼女は白高さんという狐の神様を降ろす。近年流行のスピリチュアリティや現代の新興宗教とは異なり、かなり伝統的な霊媒の在り方を見ることができる。物語として読んでも面白い。3200円と値が張るが、この分野に興味がある人は読んで損することはない。2014/10/24
mittsko
0
おすすめの名著! 副題の「女性巫者」ではなく、彼女がいた時空間そのものこそ!2010/03/03