出版社内容情報
環境や生物多様性の危機が差し迫る現代の「共生」は、すべての存在が「よりよく生きる」ことで実現しうる。新たなリベラルアーツの実践を目指す東京大学東アジア藝文書院が、未来をひらくために言葉と思索の力を尽くして問いかける12の連続講義。
内容説明
危機の時代に希望を見出すための倫理的な出発点を探る挑戦。「共生」にひそむ悪を問い直し「すべての存在が豊かに生きるための哲学」へ。言葉と思索の力を尽くし互いに問いかけあう12の連続講義。
目次
1 わかつ(共生をめぐる小さな自伝的物語り―トラウマを生きる;先住民族との共生;他者と共生する「私」とは誰か―レヴィナスの思想を手がかりに;仏教から見た共生―私ひとりで幸せになれるのか?)
2 わたる(自然に意義を見出す価値観を育てる―中国の自然保護活動における共生;類を違えるものと共に生きる世界―中国思想から問う新しい環境倫理;共生を求めること・共生を堪えること―魯迅を手がかりとして)
3 ただす(いかにして共に生きるか―食べること、あるいは共同体のリズム;共生と生政治;文学研究と「ポストクリティーク」―批判は共生のための技術になりえないのか?;有機体論的な隠喩をこえて、あるいはサイバネティクスのあとの哲学)
よりよく生きるためのスペースを想像する