出版社内容情報
美学は18世紀半ばに作られた哲学的学問であり,「感性」「芸術」「美」という主題が収斂するところに成立した.美学の古典といえるカント『判断力批判』(1790年)を題材にし,そこでの重要なテーマをめぐって,古代ギリシアから21世紀までの美学史を概説する.美学を深く学ぶための決定版.
内容説明
「感性」「芸術」「美」をめぐる思考。カント『判断力批判』の議論を軸にして、古代ギリシアから21世紀までの美学史を展開する。古典入門、かつ美学概説の一冊。
目次
第1章 美の無関心性
第2章 趣味判断の普遍妥当性
第3章 目的なき合目的性
第4章 趣味判断の範例性
第5章 感性の制約と構想力の拡張
第6章 構想力と共通感官
第7章 美しいものから道徳的なものへ
第8章 「美しい技術」としての芸術
第9章 「美的理念」と芸術ジャンル論
第10章 美しいものと超感性的なもの
著者等紹介
小田部胤久[オタベタネヒサ]
1958年東京に生まれる。1981年東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科、ハンブルク大学哲学科に学ぶ。1988年神戸大学文学部助教授。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tieckP(ティークP)
10
カント『判断力批判』を軸に美学の大事な概念を丁寧に解説した入門書。もっとも、著者の考えに沿えば、正確には古典こそ歯ごたえある最良の入門書であるから、それを理解するための最良の副読本である。 『判断力批判』が軸ではあるが、哲学がプラトンとその注釈である意味において、『判断力批判」とその分脈・注釈こそ美学であるから、両方を視野に入れた本書はまさに美学そのものの解説書である。 読者への配慮と哲学的知性(そして敢えて前面に出さないが芸術への感性)とを兼ね備えた圧巻の本だけに褒め方に困るが、あえて言えば美しい本。2021/02/20
パン
3
これでもう判断力批判は怖くない❣️2023/04/22
yu-onore
2
半分事典みたいな趣があるので、僕は絶対にこれを入手しなければならない。無関心の美がハイデガーの芸術観へと繋がっていく視点や、統合されえないものを統合しようとする崇高とそれを継承し近代絵画の分析を行ったリオタールについての話(前に、カントの崇高と岡崎の抽象の力の間にある類似を考えたことがあったけど普通に必然だった)、そして内部的なものとしての共通感覚が共通ではありえなくなるドゥルーズ『差異と反復』の議論にカントの崇高からの園長を見出す点が印象的。2021/05/25
stray sheep
0
来季『判断力批判』の講読があるのでそれに合わせての再読。もう一周くらいすればこの本(カントではなく)の内容はある程度頭に入りそう2025/03/30
stray sheep
0
骨があってなかなかしんどかったけど読んでよかった。姉妹編の『西洋美学史』を軽く読んでからこれと格闘し、読了後にもう一度戻る、というのが筋の良い読み方であるようにも思われた2023/09/27