出版社内容情報
ギリシアの哲学を自らの思惟としつつ,現代哲学の鋭い分析視角に照して,プラトンを,アリストテレスを洗いあげた注目の労作.哲学の成立そのものを執拗に追求してギリシア哲学研究に新しい段階をひらく.
感想・レビュー
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「実に、タレスの「水!」の発語は、かれの筆持つことへの怠惰の故でも、文献の不足や伝承の疎漏の故にでもなく、初めて〈あれ〉に、万有の蔭に完全犯罪を遂行して止まぬ〈あいつ〉に、人間が突然出遭ったときの、驚畏と緊張の異様な沈黙のさ中に発せられた一語であったが故に、かく厳しく孤立するのである」〈あれ〉〈それ〉〈これ〉〈あいつ〉〈なにか〉… 哲学という知的営みを駆動させた「驚畏と緊張」の源について、タレス、パルメニデス、プラトン、そしてアリストテレスへとくだりつつ解き明かしていく。2018/10/07