内容説明
本書での課題は、キェルケゴールの思想をとくに個別的なものと普遍的なものとの関わりという観点から分析吟味することであり、それによって彼の思想を哲学的思想として解明することに努められている。キェルケゴールにとり個別的なものにたいする普遍的なものの関与が本質的に重要であるということは、従来の研究では突きつめて論じられることのなかったテーマであり、その指摘と究明により、本書は、キェルケゴールの思想を哲学的思想として解釈することに大きな寄与を果たしているといえよう。
目次
第1章 キェルケゴールの人間学的根本構想(一般的課題;「中間存在」としての人間のより詳細な規定)
第2章 抽象的思惟と具体的思惟(抽象的思惟への批判;思惟における可能性と現実性との関わり)
第3章 存在伝達としての実存的伝達(伝達内容としての「存在」と「実存」、およびそれらの「真理」;存在伝達の形式として間接的語り)
第4章 実存的人間学(美的段階;倫理的段階;宗教的段階)
第5章 個人の段階的自己形成における個別的なものと普遍的なものとの弁証法