内容説明
私は女優、小栗久美子。実際にあった18年前の事件を映画化するため、スタッフとともにこの山深い平家谷へやって来た。密室と化した蔵での旧家の一人娘の死、そして使用人まで含めた一族の入水心中……この異様で不可解な事件に、私の好奇心は役柄の研究の域をこえて刺激され、事件関係者への疑念も、撮影が進むにつれてますますつのってゆく。そういえば今年も、あの18年前と同じように、夥しい数の凶々しく紅い蛾が異常発生しているが……。乱歩賞作家の書き下ろし本格推理長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
センラ
9
本書を探し始めたのは中二の頃でした(※いま高二)。これほど時間がかかったのも初めて。 ▶︎18年前の事件を映画化するため現地を訪れた撮影陣。主演女優の久美子は役を演じる内に事件の不可解な点に気付き、真相を探り始める__というお話。伝奇的ながらも、やはり落ち着いた雰囲気。と思ったら最後の最後でたまげた! 梶作品の中でも屈指の大業が仕掛けられています。物語の構造と舞台設定がかなり効果的に使われており、ミステリマニアでもこのトリックには気付けないでしょう。素晴らしい。2016/07/18
ソルト佐藤
4
序盤、というか中盤すぎてもたるい。3/4すぎないと新しい死体でないし(笑 途中で挿入されている台本も、盛り上げる効果があがっているとは思えない。台本と、撮影側のキャラクターの対象のため、二重にキャラおぼえないといけないし。しかし、そこはやっぱりカジタツ。最後1章をまるとつかった怒濤の推理、伏線回収があつい! 熱すぎる! ある程度までネタは分かったけれど、ここまで大きいくくりでやるとは思わなかった。あと、フックなだけで、本筋にはそこまで関係なかった百合(?)ネタ。これメインにしたのが読みたかったです(笑2020/07/03
wm_09
2
特に何か目新しいものがある訳ではない(雰囲気作りやキャラクタ造形はある程度手癖でやっている気配もある)が、本格へのこだわりを持って丁寧に仕上げられた作品という印象。終盤の怒濤の伏線回収を経て明かされる執拗な仕掛けが圧巻。(稲)2009/09/29
kanamori
0
☆☆★2011/02/04