出版社内容情報
そこは「やさしい殿さま」が支配する「やさしい村」。
しかしある日、村の人々はその暮らしに疑問を持ち……。
日本児童文学の歴史を変えた、ディストピア×時代小説(初刊1968年)。
多くのリクエストを受け、待望の復刊です。
〈カバーイラスト〉小宮りさ麻吏奈
〈カバーデザイン〉真田幸治
〈解説〉蛙坂須美
***
かつて少年少女読者に戦慄をもたらした、児童文学の異色名作を復刊する中公文庫のラインナップ
鈴木悦夫『幸せな家族』(2023年9月)
那須正幹『屋根裏の遠い旅』(2025年12月)
に続く第3弾!
【目次】
内容説明
そこは「やさしい殿さま」が支配する「やさしい藩」。貧しい土地で育つ唯一の特産物は、飲むと勇ましい戦の夢が見られる「ユメミの実」。しかしある日、人々はその暮らしに疑問を持ち…。村に隠された残酷な秘密、そして「手まり歌」の正体とは?読者に衝撃をもたらし日本児童文学の歴史を変えた、幻のディストピア×時代小説。
著者等紹介
上野瞭[ウエノリョウ]
1928年、京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。同志社女子大学教授。児童文学者。2002年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
his
7
やさしい御殿様のいる、やさしい藩の話。ぎっちらぎっちら歩く池之助。ずるずるずるずる這い回るゆり。おみよを「やさしいむすめ」にしてくれると言う。序盤から何が何かわからないのに、不穏さしかない。山には山んばがいるから、登らない様にという計らい。ユメミの花という、くそほど怪しげな草を近隣諸国に売りさばいてる居る模様。怪しさしかない。なんというデストピア。時代小説とはあるが、これは現代の物語だ。昔昔で語られる寓話ではない。令和を生きる人間にこそ、その心に問われた方がいい。1番怖いのはこれが児童文学ってところ。2026/04/05
げんなり
5
最近の流行りだと、これはホラーですというおすすめをしてもいいかもしれない。児童文学としては、おそらく当時からかなりとんがっていたものだろうと思う。ディストピア物でもある。時代物っぽくもあるけれど。 まあ、個人的にはタイトルと帯の惹句で、あららららとは思ったのだけど、読んで良かった。抜群に面白い! ジャンル分けには本当は興味はないのだけど、本作の終わりの『おしまいに……』にある「(登場人物の一人は)子供の心を持っていた。」の部分を読んで、まずは児童文学として読み解くべき作品なのだと思った。2026/02/23
Ryo0809
2
1968年初刊から約40年を経ての復刊である。日本版ディストピアの先駆的な作品なのだろう。不気味な管理社会の真相を手まり歌に乗せて顕す手法が、ぞわぞわとした怖ろしさを一層際立たせているようだ。昔話のように語られる寒村。人々の暮らしが何とも薄ら寒いのは、昔の出来事だからではない。現代社会の政治の横暴ぶりにも通じるような、警告の書とも読める。2026/04/16
kuzira
2
終始漂う不気味さ。やさしい国では6歳になるとやさしい娘になる儀式をする。選ばれた子供は足を切られ、生きていればやさしい娘。そして選ばれなかった子供はお花畑に迎えられる、つまり切られて肥やしになる。考える人や他の人と違うものを見た人は虫がついたとされ、虫退治として切られる。救いは無い。 やまんばになったみよの命がけの行為も、春になったら黒い花が咲くという描写でやはり救いがない。怖い話を読みたい子供は読むといい。疑問を持つな、考えるな、の学校教育や軍事国家を彷彿させる現代の話だと思った。2026/04/01
momo
2
最初から最後までじとっとした怖さのある話でした。あとがきの「これは『昔の話』ではなく『現代の物語」なのである』というのは本当にそうだと思う。このてまり歌を誰もが歌わなくていい世の中になりますように2026/03/04
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