出版社内容情報
17歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活は、
ある死をきっかけに瓦解し……。
世界各国で翻訳刊行中!
孤独な少女の闘いを渾身の力で描ききった最高傑作。
【目次】
内容説明
十七歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは危険な“シノギ”を繰り返し必死に働くが、次第に追い詰められていく。青春の日々は、ある死をきっかけに瓦解に向かい…。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。
著者等紹介
川上未映子[カワカミミエコ]
大阪府生まれ。2008年、『乳と卵』で芥川龍之介賞、09年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、10年、『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞および紫式部文学賞、13年、詩集『水瓶』で高見順賞、同年、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、16年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞、19年、『夏物語』で毎日出版文化賞、24年、『黄色い家』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
40
上巻からの勢いのまま読んでしまった。途中で読むのをやめたくなるような苦しさがあった。今はこれじゃないんだよなぁ~と思いつつ、読み始めたら途中で辞めることができない。花ちゃんの焦燥に飲み込まれそうで怖い。2025/12/09
Shun
35
乱れた家庭環境で育った花は幼少期の窮乏から誰よりもお金を稼ぐ気持ちが強く、同様に訳ありの環境から家出状態の友達二人とそして自分を保護してくれた年上の女性・黄美子と共に共同生活を始める。意気投合した女四人の生活は初めは楽しく、同じスナックで働く生き方も充実しているようだった。しかし訳ありという境遇ゆえか順風満帆に見えた生活に不運な事故や詐欺にあった母親の登場で物語は忽ち暗雲に見舞われ、花は焦燥感から一線を越えた行動を起こしてしまう。幸せや金運を黄色に願った少女のやる場のない叫びに胸が張り裂けるようだった。2025/12/02
むた
19
ついに一線を越えてしまってから転がり落ちる様がリアルすぎる。花という人は、こんなに過酷な環境に生まれつかなければ、普通の幸せを掴めた人間だろうと思えることがまた悲しい。自分の頑張りだけではどうしようもない状況に置かれている人は必ずいると想像はできるものの、そのことに関して自分がどう思えばいいのか。それがいつまでたっても分からない。2025/12/13
BUN
16
上手くいってたスナックレモンが焼け、危ない仕事に手を出し始めた花。たどたどしく、危なっかしくて、見てられなかった。けど、なんとか続けながら、蘭と桃子とチームを組んで、仕事内容の拡大もしていく。しかし、ひびが入り出した関係は、後戻りすることなく瓦解していく。社会の底辺で必死に生きながらも、犯罪に手を出し、良好な関係が緊張感が増し、ナーバスになっていく人間ドラマだった。そして全うな社会に戻った花ですが、その後も、稼ぐ事に苦労を重ね、過去の後悔を思い出し、長く苦しい人生を続けている。全うとは何か、考えさせられる2026/01/03
Departure
16
青春の煌めきは、黄色い部屋を介して暗く塗り潰されてゆく。資産主義の価値観が揺らいだ90年代末期。即物的な利益、すなわちカネを追い犯罪に手を染める少女たち。彼女たちを見守り導くはずの大人もまた未熟であり、社会を覆う諦観に呑まれていた。花が周囲に向ける感情はアンビバレンス(激情・静謐、信頼・嫌悪、憧れ・忌避、依存・自立)であり、互いに衝突し合い制御できないまま膨らんでいく苦しさは、読んでいる私の胸にのしかかる。心理描写の巧みさと緊張感のある物語展開に魅せられた、素晴らしい作品であった。2025/12/06




