出版社内容情報
中井英夫・吉行淳之介らの盟友として知られた著者。
代表作「メーゾン・ベルビウ」物ほか、その幻想・推理短篇を厳選した初のベスト・コレクション。
【目次】
内容説明
戦後文壇に突如として現れ、一閃の光芒を放ち去った彗星―中井英夫・吉行淳之介らの盟友として、また日本幻想文学史上の隠れた異才として、長らく語り継がれてきた“幻の作家”椿實。デビュー作「メーゾン・ベルビウ地帯」から晩年の掌篇まで、絢爛たる文体に彩られたその幻想・推理短篇を精選する初のベスト・セレクション。
著者等紹介
椿實[ツバキミノル]
1925年、東京生まれ。47年、東京大学在学中に中井英夫、吉行淳之介らが創刊した第十四次「新思潮」に「メーゾン・ベルビウ地帯」を発表し、柴田錬三郎、三島由紀夫らの激賞を受ける。教員のかたわら小説執筆、神話研究を続け、82年『椿實全作品』を刊行し、作家活動を復活。2002年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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iwasabi47
4
戦後焼け野原の群像劇は面白い。が、モチーフの繰り返しが選集にすると目についてしまう。題名作より「人魚不倫」が好きかな。白鯨っぽい。「金魚風美人」も好き。2025/10/11
いると
2
人魚紀聞は読んだことがあると思ったら暗黒のメルヘンで最近読んだことを思い出した。早くに筆を折った、中井英夫・吉行淳之介の同時期の作家らしいが知らなかった。しかし、文体や物語の流れにその次代の作家の匂いがある。そして幻想的で退廃的だ。夜道を歩いていたはずなのに顔を上げると見知らぬ景色になっているかのような不思議さもあるそしてただよう昏い淫猥さ。例えが多くくどい文章はなかなかに読みづらくはあったが面白い時間を過ごせた。2025/11/08
SATAN'S TOY
1
スケッチ、私小説風だったり変格ミステリだったり幻想小説だったり。若いうちに筆を折ったのは、独特の大正、昭和初期的モダニズム文体が時代に合わないと思われたのかな。時代が一周二周してそこがかえって魅力である。2025/11/07
sugsyu
0
戦後の風俗描写含む私小説でさえ、まるで魔界の風景のようである。「浮遊生物殺人事件」の堂に入ったミステリといい、表題作や「月光と耳の話」の幻想譚といい、寡作であるのが不思議なほどの作者のスタンスの広さ。2025/10/07




