出版社内容情報
百塔の都といわれる古都プラハに学んだ言語学者が、ことば、古本、ビール、旅を通じて得た出会いを語る。
文化・言語に対する深い洞察とあたたかいユーモアに彩られた名エッセイ。〈解説〉阿部賢一
【目次】
内容説明
社会主義国の古本屋では、良い本は店頭より奥にしまい込んである。店主と打ち解け、バックヤードに入れるかどうかで勝負が決まる―戦後第一回目の交換留学生としてプラハに降り立ったときから一〇年間、古書を探さない週はなかったという言語学者が、本と出逢う喜び、愛すべき店主たちとの交流をユーモラスに語るエッセイ。
目次
1 沈黙の通訳(沈黙の通訳;その一語;壁 ほか)
2 プラハの古本屋(共産圏の古本屋・1 売買価格比一定のルール;共産圏の古本屋・2 政治反映するブラック・リスト;共産圏の古本屋・3 オリジナルより古いテキストも ほか)
3 カルパチアの月(アドリアの海から;ワルシャワの秋;沖縄の熱帯魚 ほか)
著者等紹介
千野栄一[チノエイイチ]
1932年東京生まれ。東京外国語大学ロシア語科、東京大学文学部言語学科卒業。カレル大学(プラハ)文学部スラブ語科修了。帰国後、東京教育大学助教授を経て、東京外国語大学教授、和光大学学長を歴任。共編著に『言語学大辞典』(毎日出版文化賞受賞)他。2002年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
H2A
15
軽いエッセイかと思いながら読み始めるが、旧共産圏東欧の生活や書物をめぐる諸相が描かれて大変良い内容。西側にいるとつい色眼鏡でみてしまう世界が、逆に好ましいものにさえ映るのは、著者の一貫した旺盛な知的関心と書物愛があって、それに共感があるからと思う。自虐的になりがちな蔵書自慢というものとは全然ちがう。佐藤優の本でもそうした要素があったが、うらめしい。資本主義の荒波にもまれてプラハをはじめとする東欧圏も、今ではすっかり小綺麗に「効率的」な姿に変貌しているのだろう。そうなる直前の姿が垣間見えるからだ。2025/12/10
ふるい
14
共産圏の古本屋事情が興味深かった。欲しい本と出会うために何年も通って店主と親しくなったり、売買が禁じられている本は本と交換して手に入れたり。あと、チャペックを読んだことがないので、読まなければと思った。2025/12/05
真琴
12
言語学者である著者のエッセイ。 共産圏の古書店の営み方や本を手に入れるコツや苦労話が新鮮だった。違う国の文化や言語、日常生活などを本を通じてだけれど触れるのは面白い。上質なエッセイだった。 2025/10/29
まさ☆( ^ω^ )♬
8
タイトルに惹かれて購入。とても上質で読み心地の良いエッセイだった。多国語を操り、本職の言語学者としての活動、書籍収集、様々な場所への旅等、パワフルな行動力が凄い。著者の事は存じ上げていなかったが、こういう良い出会いもあるので、タイトル買いも良いものだ。著者紹介を見ると、ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」の訳者だった。これは読んだが面白かった。カレル・チャペックの作品群や著者の師である徳永先生の「ブタペストの古本屋」も読んでみたい。2025/09/16
ピ
5
スラブ語学を研究する言語学者が、戦後交換留学生としてプラハでの生活や言語学者との繋がり、本屋事情などを細かく語っているエッセイ。 まだ社会主義国だった国での本音と建前の付き合いや、本を通じて得る友情が描かれている。 本を通じて出会う縁が繋がって行くのが見えるようで素敵な世界だなと感じた。また世界共通なんだなとも思えた! 詳細はなかなか難しいところもあったので、ふんわりと読んでしまった感はあるが、それもまたいいのではないかな。2025/11/30




