出版社内容情報
美しくおぞましい調べが生み出す、得も言われぬ酩酊感。目眩がするほど薄暗い欲動の数々に、私はただ圧倒されていた。
〈幻惑の三十一文字はひたひたと悪夢のようにあなたを侵す〉
――梨(ホラー作家)
「猟奇歌」には、笑いと戦慄がつきまとっている。
――寺山修司
***
故郷・福岡で、のちに代表作となる幻魔怪奇探偵小説『ドグラ・マグラ』を執筆する合間――夢野久作が手帳に綴り、雑誌に発表した短歌連作「猟奇歌」。
発表以来、独自の言語感覚で静かに読者を魅了し続けてきたその本篇と、関連作品を初めてまとめた文庫オリジナル。
短歌史上、最も闇に満ちた一冊がここに。
〈巻末エッセイ〉寺山修司
***
何故に
草の芽生えは光りを慕ひ
心の芽生えは闇を恋ふのか
わが胸に邪悪の森あり
時折りに
啄木鳥の来てたゝきやまずも
【目次】
猟奇歌
[巻末資料]
日記より
参考作品
ナンセンス(随筆)
夢野久作の死と猟奇歌(吸血夢想男)
「猟奇歌からくり」――夢野久作という疑問符(寺山修司)
内容説明
“何故に/草の芽生えは光りを慕ひ/心の芽生えは闇を恋ふのか”。故郷・福岡で、のちに代表作となる幻魔怪奇探偵小説『ドグラ・マグラ』を執筆する合間―夢野久作が手帳に綴り、雑誌に寄稿し続けた短歌連作「猟奇歌」。一九二七~三五年の発表以来、静かに読者を魅了してきたその本篇と、関連作品を初めて一冊に。
目次
猟奇歌
資料
著者等紹介
夢野久作[ユメノキュウサク]
1889年、福岡県生まれ。本名・杉山直樹(のち泰道に改名)。父は国士・杉山茂丸。慶應義塾大学予科文学科中退後、家業として杉山農園を経営、「九州日報」記者などを経て、1926年、「あやかしの鼓」が「新青年」懸賞二位に入りデビュー。筆名は福岡の言葉で「夢のような、現実離れしたことを考えている人」の意。36年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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