出版社内容情報
昭和・光と影
この時代の波瀾の歴史を民衆の経験の質感の連鎖として捉えてみたい――庶民生活、十五年戦争、常民の足跡、天皇像の四つを主題に自らの同時代人としての歩みとともに、昭和の五十年を描く。「自分史」を提唱した先駆的な著作に新たに「昭和の終焉」を増補。毎日出版文化賞受賞作。 〈解説〉成田龍一
内容説明
この時代の波瀾の歴史を民衆の経験の質感の連鎖として捉えてみたい―庶民生活、十五年戦争、常民の足跡、天皇像の四つを主題に自らの同時代人としての歩みとともに、昭和の五十年を描く。「自分史」を提唱した先駆的な著作に新たに「昭和の終焉」を増補。毎日出版文化賞受賞作。
目次
庶民生活の五十年(歴史を刻む顔;暗い北向きの土間で ほか)
十五年戦争を生きる(わが個人史の試み;活動写真館の片隅で ほか)
ある常民の足跡(昭和五十年をつくった人びと;ほろびゆく常民 ほか)
昭和史の天皇像(さまざまなイメージ;外国人の二つの評価 ほか)
著者等紹介
色川大吉[イロカワダイキチ]
1925年(大正14)千葉県佐原市に生まれる。43年東京大学文学部国史学科に入学したが「学徒出陣」で海軍航空隊に入隊、戦後復学して48年に卒業。米国プリンストン大学客員教授を経て、東京経済大学名誉教授。自分史、民衆史の提唱者、実践者として知られる。2021年(令和3)死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿部義彦
20
恥ずかしいながら、色川大吉と言う歴史学者の名前初めて目にしました。毎日出版文化賞受賞作。これ1冊でかなり昭和という時代(自分のほぼ前半生!)に対する見方が変わった様にも思える。それ程誰にでも分かりやすく昭和と言う時代を活写している。「十五年戦争を生きる」では著者の生まれた大正15年を始まりとして東条内閣、国連脱退の経緯などを辿りこの辺で自分の父が生まれた頃かなどと思いつつ。圧巻は「昭和史の天皇像」でこれにより人の良い「あっそう」又は自己犠牲の天皇像(自分の中)が、ガラリと覆された。こんな見方もあったのか!2025/02/11
taq
0
性格の異なる一章一章がずっしり響いてきて、深い印象をもった。 大正末期生まれの著者が生き抜いた、あとがきでうまく書ききれなかったと反省しているとはいえ、筆者の個人史がマクロからみた歴史と並行して語られ、それを補う「常民」橋本義夫の一生。残された資料から浮かび上がらせる昭和天皇の様子。特に筆者の個人史と橋本義夫の一生には激動の昭和が生き生きと立ち上がってきて圧倒された。新しい戦前という言葉がリアルに響く今、敗戦に至るまでの日本の様子に似通ったところを感じて恐ろしさを感じてしまう。2025/02/04