中公文庫<br> 無意味なものと不気味なもの

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中公文庫
無意味なものと不気味なもの

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122075146
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C1195

出版社内容情報

「あれはいったい何だったのだろう――?」

過去の人生において遭遇した、明確な恐怖とは言いがたい、けれど忘れることのできない記憶や小説。
大ヒット作『恐怖の正体』(中公新書)で話題を呼んだ作家・精神科医である著者が、精神の根源に触れるそうした〈恐怖寸前〉の〈無意味で不気味なものたち〉に惹かれて渉猟した、異色の文学エッセイにして読書案内。

刊行以来、ホラーや幻想文学の実作者を中心に、多くの読者から絶賛を得てきた名著に、書き下ろしの新章を増補した新版。
誰もが体験しながら、ふだんの日常においては意識の底に沈められがちな〈あれ〉を求めて……読めばきっと、あなたも語りたくなる。

推薦・澤村伊智
解説・朝宮運河

目次
文庫版のためのまえがき
まえがき

1 隠蔽された顔――N・ホーソーン『牧師の黒のベール』
2 本物そっくり――河野多惠子『半所有者』
3 糞と翼――パトリック・マグラア『長靴の物語』
4 姿勢と連想――古井由吉『仁摩』
5 受話器を握る怪物――H・P・ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの陳述』
6 孤独な日々――日影丈吉『旅は道づれ』
7 南洋の郵便配達夫――J・M・スコット『人魚とビスケット』
8 描きかけの風景画――藤枝静男『風景小説』
9 墜落する人――レイ・ブラッドベリ『目かくし運転』
10 救われたい気持ち――高井有一『夜の音』
11 果てしない日々――クレイ・レイノルズ『消えた娘』
12 世界の構造――富岡多惠子『遠い空』
13 グロテスク考――カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』
14 うふふ。――車谷長吉『忌中』
16 昆虫的――内田百閒『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最後の逃亡』
16 入り込んでくる人――庄野潤三『黒い牧師』

あとがき

解説 朝宮運河

〈本書は、無意味なものと不気味なものにまつわる探求報告であり、「あれはいったい何だったのだろう」という呟きの執拗な反復である。もし読者諸氏にも「あれはいったい何だったのだろう」との文言が病原菌のように感染すれば、著者としては嬉しい。寂しさがまぎれ、この世界に生を営んでいくことの不安を、幾分なりとも忘れさせてくれそうだからである。……〉(「まえがき」より)

内容説明

あれはいったい何だったのだろう―私たちの心をざわつかせ、名状しがたい不安感を呼び起こす、過去の体験や不穏な記憶。作家・精神科医である著者が、そうした人間心理の暗部に触れる“無意味で不気味なもの”の正体を、ラヴクラフトや車谷長吉などの小説作品に探る。異色の恐怖文学論に書き下ろしの新章を増補した決定版。

目次

隠蔽された顔―ナサニエル・ホーソーン『牧師の黒のベール』
本物そっくり―河野多惠子『半所有者』
糞と翼―パトリック・マグラア『長靴の物語』
姿勢と連想―古井由吉『仁摩』
受話器を握る怪物―H.P.ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの陳述』
孤独な日々―日影丈吉『旅は道づれ』
南洋の郵便配達夫―J・M・スコット『人魚とビスケット』
描きかけの風景画―藤枝静男『風景小説』
墜落する人―レイ・ブラッドベリ『目かくし運転』
救われたい気持ち―高井有一『夜の音』
果てしない日々―クレイ・レイノルズ『消えた娘』
世界の構造―富岡多惠子『遠い空』
グロテスク考―カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』
うふふ。―車谷長吉『忌中』
昆虫的―内田百〓『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最後の逃亡』
文庫版ボーナストラック 入り込んでくる人―庄野潤三『黒い牧師』

著者等紹介

春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医を経て精神科医に。都立精神保健福祉センター、都立松沢病院、都立墨東病院などに勤務。多摩中央病院院長、成仁病院院長を経て、同名誉院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

58
平山夢明氏と対談し、漫画『変人偏屈列伝』収録のコリヤー兄弟篇で名前だけは知っていた精神科医による「不気味さ」を巡る書評集。まずは取り上げられている作品が一筋縄じゃいかない物語ばかり。そして作品紹介の枕としての個人的な体験談が余りにも悪夢的で強烈で度肝を抜かれる。いつの間にか、転がっている日常への違和感への感受性が鋭敏過ぎるのだ。更には媚びを売らないどころか、歯にも着せぬ書評が展開されており、これは信頼できると確信。ただ、娘を待ち続けて人生を消費する「消えた娘」、三面記事となった事実を描く「忌中」が印象的。2025/04/11

tonpie

47
精神科医が、生涯愛好してきた「不気味な」小説を紹介したレビュー集。文学史的評価に全く忖度しないチョイスが気持ち良い。それに繋げるように、自身の少年の頃からの実生活での「気になる経験」をも交えて語るのが特徴。浪人中に出会った「狡そうな表情の」福助の人形、子どもの頃に行った床屋にかかっていた理髪師の描いた抽象画のことなど様々なのだが、ゆるくてドラマ性に欠けるが、何となく気になってしまうエピソードが、ホーソーンや、河野多恵子や、ラヴクラフトの要約や引用と繋がってゆく語りは、かなり「神経にこたえる」。↓2024/07/03

よこたん

37
“自分が生きていた中で、「あれはいったい何だったのだろう」としか言いようのないものと出会ってきた。それは他人に語れば埒もない些事に違いない。” 日常生活の中にもひっそりと潜む、不可解や違和感。それは小説の中にも。執拗なまでに書き込まれて気持ち悪く不快になるものの反対側に、あえて書かれないことによる宙ぶらりんな余白のこわさがある。引用されている小説は知らないものばかりだったが、後味の悪さは格別。西部劇の「底無し沼」、いつの間にかするりと家庭に入り込んでくる人物、終わりが訪れない状態…不気味要素に久々に頭痛。2024/06/30

くさてる

29
春日先生らしい、というか春日先生にしか書けない書評集。取り上げられている本のジャンルは純文学からミステリ、ホラーまで幅広いけれど、なんとも不穏な、厭な空気が漂ってくる世界が紹介されている。それを語る先生の筆致もまた、暗いユーモアと厭世観のようなものがあって、面白い。面白そうな本ばかりが紹介されているのは確かながら、先生の解説文そのものも面白く、的確なのだと思う。2024/10/28

阿部義彦

28
中公文庫新刊です。精神科医の春日武彦さん、唯一の文芸作品評論ですが、その焦点は作品の不気味さ、訳の分からなさ、宙吊りにされる様な無意味さ、と言う異色評論となっていて、文藝春秋社から単行本で出た時は殆ど黙殺され売上も全然だったそうです。しかし、私からすれば、理由が判る納得ずくの恐怖よりも、『あれは一体なんだったのだろう?』としか、言いようの無い訳の分からなさこそ、一生忘れられない出来事てして胸に刻まれるという、著者の意見には大賛成です。取り上げられた16の物語達。私的ベストは高井有一『夜の音』でした。2024/07/02

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