出版社内容情報
母が事故死した夜から、葵の日々は一変する。遺されたワインバーを継ぐのか。同棲しているのに会話がない恋人との関係をどうするのか。仕事、恋愛、家族――。人生を見つめ直し、傷ついた過去と対峙することになったとき、三十二歳の葵が選んだもの、そして選ばなかったものは……。第一回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞作。〈解説〉加藤シゲアキ
内容説明
母が事故死した夜から、葵の日々は一変する。遺されたワインバーを継ぐのか。同棲しているのに会話がない恋人との関係をどうするのか。仕事、恋愛、家族―。人生を見つめ直し、傷ついた過去と対峙することになったとき、三十二歳の葵が選んだもの、そして選ばなかったものは…。第一回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞作。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第四四回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第二五回野間文芸新人賞、15年『Red』で第二一回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第一五九回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
結衣花
24
2020年と聞けば誰しもが未曾有のウイルスに脅かされ、見えない未来を不安に思いながら窮屈に過ごしたことを思い出す。そんなコロナ禍の恋愛小説かなと思いきや基礎の舞台は2018年。恋に奔放だった母を不慮の事故で喪い、ただ開店することだけが決まっていた空っぽのワインバーを残された主人公の葵の、切っても切れない異性との交流が目まぐるしく描かれる。恋の酸いも甘いも知らない私からしてみれば、矢継ぎ早に訪れる恋のようなものに若干辟易してしまいましたが、解説を目当てに出会った本書との出会いもまた、ひとつの経験かな。2024/02/10
エドワード
21
始まりは2018年。会社員の前原葵は、仕事を続けながら事故死した母のワインバーを継ぐ。情熱的かつ冷静な葵が魅力的だ。親類たち、会社の人間関係、様々な問題が描かれる。癖のある男たちもものともしない。葵は結婚も子供も要らない。新しい女性だ。ストーカー男から葵を守り、スペインまで一緒に旅行した“恋人” 海伊とも別れる。数ページだけ描かれる、2020年のコロナ禍の飲食業の模索。最後が2019年のクリスマスの煌めきという構成が面白い。コロナ禍は歴史の確たる1ページだ。2024年、葵の店「白」は輝いていることだろう。2024/04/24
GORIRA800
11
ラブコメ、小説版みたいな感じ 漫画とかでやったらなんでそんな出会いあんなん笑ってなってしまいそうだけどなんかこの作品独特のムードに引っ張られて、結局主人公は恋人に恵まれないかわいそうな物語なのだと気づいていったら主人公のことが愛おしく思えていった でも魅力的な異性がたくさんいたとしても付き合うことができないのは現実的だ 両思いなのだとしても付き合えない そんな事実に気づき、この小説のひとつの見方に気づいた自分は少し大人に近づいているのかもしれない2024/04/12
ぱぴこ*2
11
装丁が素敵です。葵さん、モテすぎ。島本理生さんの中ではヒリヒリ感少なめかな。読みやすかったです。【積み本:7】2024/04/12
かすみ
8
東京タワーの表紙が好きで買ってから、長く積ん読していた。好きな色のカバーを選ばせてくれる有隣堂で、この表紙のイメージもあってこれは間違いなく青色だわと強めの直感で選んだ色が、"葵に似合う色"として登場していて嬉しい。葵が選択していくすべてに全力で頷きながら一気に読んだ。時々疲れて泣いた。「誰に強いられることもなく自分が選んだのなら、どちらだって。」胸の中で"始めない"と呟いて無理やり防御力を上げて自分を守ろうとしていたのに、ひとつ踏み込んだ場所へ行けるようになって、葵はたしかに自由になった。2024/04/20