出版社内容情報
2018年本屋大賞2位!
著者渾身の慟哭のミステリー、ついに文庫化!
昭和五十五年、春。棋士への夢を断った上条桂介だったが、駒打つ音に誘われて将棋道場に足を踏み入れる。そこで出会ったのは、自身の運命を大きく狂わせる伝説の真剣師・東明重慶だった――。死体遺棄事件の捜査線上に浮かび上がる、桂介と東明の壮絶すぎる歩み。誰が、誰を、なぜ殺したのか。物語は衝撃の結末を迎える! 〈解説・羽生善治〉
内容説明
昭和五十五年、春。棋士への夢を断った上条桂介だったが、駒打つ音に誘われて将棋道場に足を踏み入れる。そこで出会ったのは、自身の運命を大きく狂わせる伝説の真剣師・東明重慶だった―。死体遺棄事件の捜査線上に浮かび上がる、桂介と東明の壮絶すぎる歩み。誰が、誰を、なぜ殺したのか。物語は衝撃の結末を迎える!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノンケ女医長
300
このような作品世界に入りこむと、どうしても思い出す言葉がある。「汚れた血筋」という概念を。どんなに本人が、孤独に耐えて一心不乱に努力を重ね生きたとしても、安寧や成功を感じられるのは一時だけ。ほぼ常に、禍に晒され、世間からも疎隔され続け、ついに絶望に至るしかない。自身の出自を知らされたときに「やっぱり」と受け入れざるを得ない覚悟を、すでに桂介はしてしまったように思った。最後まで、遣る瀬無い気持ちにさせられる小説だった。「いかれた血」という語句が、心の奥に突き刺さった。2024/07/28
イアン
279
★★★★★★★★★☆上巻では心の内が殆ど描かれなかった桂介の空想から始まる下巻。歴代最強と謳われた伝説の真剣師・東明との出会いにより、桂介の運命は大きく動き出す。昭和・平成という2つの時代を跨ぎながら、物語は冒頭の場面へ収束していく。天木山での最後の対局で東明が放った〝あの一手〟は「俺のことなど放ってお前は幸せになれ」という東明なりのメッセージだったんだと思う。序盤に提示された名駒の謎が終盤に明かされる極上のホワイダニットに、思わず「このミステリーはすごいな」と唸った。ノミネートされたのは本屋大賞だけど。2020/11/04
あきら
233
作者縛りで本を選ぶことはあまりないけど、今回は柚月さんだから、で買ってしまった。 主人公の将棋にまつわる人生、一手ずつ王手に迫っていくような事件の真相を追う刑事。 とても読み応えのある物語でした。 将棋へのこだわりが随所に見られてそこも面白かった。
のり
200
上京し生活に慣れてきた頃に、伝説の真剣師の「東明」に出会い、将棋から離れていた「桂介」は対局の凄味を目の当たりにする。しかし人となりは破天荒過ぎる。この出会いにより、またしても負の財産を背負う事になる。桂介に付きまとうのは二人の死神と血縁。盤上の向日葵とは決して美しいものだけではなかった。成功を手に治めながらも次々に追いかけてくる試練。桂介をそっとしておいて欲しかった。2021/04/29
あきぽん
194
痺れるようなハードボイルドな男同士の絆に酔いしれて一気読み。将棋が分かればもっと感動しただろう。女性作者にどうしてこんなものが書けるんだろう。いやむしろ、女性だからこそ理想の男くさい世界が書けるのかもしれない。羽生さんの解説も必見‼2021/02/09