出版社内容情報
8人の女性と9回結婚、ヤクザだった安部譲二の波瀾万丈な人生経験を、30年来の友人である作家・山田詠美が引き出す。対談が始まったころ、まだ独身だった山田さん。対談と同時進行で、10歳年下の現在の夫君と恋愛が始まり、結婚に至った(プロポーズは、本書対談取材で訪れた京都にて。その様子も収録)。さらには、76歳の安部さんの「人生最後の恋愛」も勃発。家出をして彼女の家に転がり込む、などのハプニングもあり、著者二人の山あり谷あり、「人生劇場」の様相を呈している。『婦人公論』に山田さんが寄稿した安部さん追悼文「ベストフレンド4ever」収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
51
酸いも甘いも噛み分けた大人たちの他愛なく、時に核心をつくおしゃべりが好きで、例えば吉行淳之介氏の対談本などを大好物とする私は、喉を鳴らすように読んだ。晩年の安部譲二氏の可愛げが爆発している。Amy氏の度量は言うまでもなく。2023/01/11
Inzaghico (Etsuko Oshita)
10
人生相談のはずなのに、新婚の山田詠美ののろけ話になったり、安部譲二の道を踏み外しそうな恋の話になったり(隣に奥さんがいるのに!)で、笑いが止まらない。本読んで大声出して笑ったのって久しぶりだ。ふたりとも自分の生と性の全責任を引き受けて生きてきた。文句ばかり言ってないで、責任を引き受けて生きてきたかどうかって、ジジババになったときに如実に出る。ふつうの常人にはふたりのような生き方はできない。たぶん途中で絶対に死んでいる。ふたりとも、ここまで生きてこられたのが不思議なくらいだ(安部譲二は亡くなったが)。2020/05/18
ひかり
7
2人がお悩み相談に答えるんだけど、ほとんど脱線して答えずに、わいわいお喋りしてる(^^)安倍さんもおじいちゃんになると、可愛いくなってたのね。2024/05/21
ふじこ
7
姉御肌のエイミーとチャーミングな安部さん。人としての豊かさに溢れたふたりから飛び出す言葉は金言の連続。どうしても子どもが欲しい主婦、在日三世との結婚を家族に許してもらえない女性、セックスレスになってしまった夫婦、妻の死から立ち直れない男性。寄せられたお悩みをきっかけに、ふたりの会話はどんどん横道に逸れていく。妻を愛し、詠美さんに対してもとても紳士的だった安部さん。彼がもういないことが残念でならない。それにしてもエイミーはどうしてあの大物作家に逆胸毛が生えてることを知ってるんだろう。2020/05/12
ジェンツー
3
いきなり後書きの話。アナウンサーの宇垣美里さんは、学生時代山田詠美さんの本に救われたと書く。私もそうだった、と思い出して胸が熱くなる。自分で表現しきれない感情のひだが的確に言語化されたと感じて驚き、答えのない苦しさの中息継ぎができたように感じた。きっと同じような熱量で同じ作家の本を宝物のように思っている人を見つけた、その喜び。 安部譲二さんと詠美さんの人生相談はほとんど相談に答えず、しかし要所はついて、2人の人生の流れとともに語られる。安部譲二さんの本はまだ読んだことがない、これから読もう。2020/11/02