出版社内容情報
ユーモラスな自伝的内容、作家仲間の楽しいやりとり、鋭くも笑える社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作のエッセイを増補。
安岡章太郎[ヤスオカショウタロウ]
著・文・その他
内容説明
どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい―ユーモラスな自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によりエッセイを新たに収録。
目次
1(桜の季節;試験地獄;夏休みの宿題 ほか)
2(民尊官卑;旅のこころえ;誰がために電話は鳴る ほか)
3(美容整形、是非;下着ブーム;食べられる美人 ほか)
著者等紹介
安岡章太郎[ヤスオカショウタロウ]
1920(大正9)年、高知市生まれ。慶應義塾大学在学中に入営、結核を患う。53年「陰気な愉しみ」「悪い仲間」で芥川賞受賞。吉行淳之介、遠藤周作らとともに「第三の新人」と目された。60年『海辺の光景』で芸術選奨文部大臣賞・野間文芸賞、82年『流離譚』で日本文学大賞、91年「伯父の墓地」で川端康成文学賞を受賞。2013(平成25)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真琴
7
★★★★☆ 自伝的エッセイ。幼少期の頃からの「劣等生キャラ」による出来事はクスッと笑ってしまう。また、自身や周囲の人、時世などに対して鋭く観察し切り込んでくるが一貫してユーモアが溢れている。夏休みの宿題の件は、氏の頃から今に至るまで子供は変わっていないのだな。「ユニフォーム考」で述べられる「何にしても制服をとおして人間を眺めるという習慣はなるべく早く一掃してしまいたいものだ。さもないと、やがて僕らは思考のユニフォームを着せられるかもしれない」(P248)は今にも通じることだと思った。日本(人)の課題かな?2023/08/30
地下道入口
2
「つまり、プルースト並みの書斎をつくって勉強するには、やはり他の生活条件もプルースト並みに高まらなくてはダメである。」(本書p.72)の一文が何故かツボにハマった。2018/09/20
ジュリ(村上)
1
安岡氏のゆるいエセー。ときどき話が二転三転することがあるが、そんな時は『安岡氏の講演をライブで聞いている』と思うことにした。米国暮らししたほどなので英語には一家言あるのだろうか、野球選手が手にはめるアレをグローブではなくちゃんとグラヴと書いているのは驚いた。自慢話は少なく、全体的にトホホで軽い話が続くが、ユーモラスなエピソードでもその背景となっているのは戦争や戦後だったり病気であったり、そして先進国である米国で暮らす日本人という位置付けであったりするなど、ところどころ、悲しみ、諦めも感じられる。2020/11/04
うかれ
1
40年以上前の本なのに、物事の考え方にほとんど古さが感じられないのがすごい。「書斎の工夫」面白かったです。遠藤周作とのエピソードなど、エッセイに度々出てくる作家たちとの交流も楽しい。2018/09/30
さく
0
名前のイメージから堅苦しい感じの人かと想像してたけど、読んでみたらまるで違った。小説も読んでみたい。2021/09/01