出版社内容情報
それぞれの道で、本当の強さを追い求める剛とそのライバル達。そして、運命が再び交差する――。武道小説、感動のクライマックス!
今野 敏[コンノビン]
著・文・その他
内容説明
剣豪・高松孝道に自分の脆さを指摘された剛は、迷いを振り払うべく真剣の孝道に勝負を挑む。その頃、剛を巡る松任組と劉栄徳の対立は松原弘一と宋陵元の決闘に発展。経験の乏しい弘一の勝算は!?一方、孝道の元を辞し沖縄に向かった剛は、偶然出会った強靱な老空手家とのやりとりの中で、大事な何かを掴み取る。時は満ちた。横浜では劉栄徳との再戦が待つ!新装版、完結。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年、北海道三笠市生まれ。78年「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞しデビュー。以後旺盛な創作活動を続け、執筆範囲は警察・サスペンス・アクション・伝奇・SF小説など幅広い。2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、08年に『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞及び日本推理作家協会賞、17年には「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。空手の源流を追求する、「空手道今野塾」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiru
108
「一人の旅人があった」…から始まる三国志の時代以来、自衛を目的とする究極の技として生み出されたのが武術。剛の”強くなりたい”の一念はそれと同じ。一方、傭兵時代に闘いの虚しさを知った鉢須賀は、”原石”(剛) と出遭い、真の強さを追求する。限られた人生を研磨して生き抜く武術者たち、そして燃え尽きる勇者たちも__。訪ねたい人間がたくさんいた。朝日の中に誰かが立っている。それが誰かすぐわかった。剛はその男と話したくなった。劉永徳との闘いのことを。剛が今、考えていることを…。剛は男に向かって 夢中で駆け出していた✨2022/12/26
10$の恋
44
道場破りを続けながら強さを求めて旅をする剛、達観した幾人かの武術家と巡り会い、強烈な違和感を覚える。『なぜ勝てない?技は僕がまさってるはず…』。そして最終的に行き着いた「沖縄空手」で人間の生き方を知る。乗り越えるべきは「己」だったのだ。手数優先の近代武道と生きるための精神武道の大きな違い、「心技体」の"心"こそ全ての"核"。敢えて人間性を封印してきた暴力だけの生い立ち、その生き方が移ろい始める。人間は孤独ではない、剛はやっと孤独の殻を破り始めた_。私の心を沸騰させ続けた『孤拳伝』全5巻、愛蔵の書となった。2022/12/26
PEN-F
40
長かったけど全5巻読み終えました。何が正しくて何が間違っているのかはその人次第だから一概にはなんとも言えないが、若い人が自分にとって正しいと思える方向に人生を歩み始めるのはちょっと嬉しい。2022/05/19
ヤジマ
35
主観点 9.6/10 怒涛の最終章を読み終えて押し寄せる感慨。達成感よりも喪失感が勝る読後となった。700近い項数の中で戦士たちは互いの道を着実に歩み、ある者は天に召され、限られた一握りの人間だけが武道の境地に到達する。剛が沖縄で屋良老人との生活の中で習得した歩法。その無遠慮な歩法から繰り出される封殺は正に天衣無縫。脅威的であり、爽快だった。そしてやはり最後はあの人物との一騎打ち。境地に達した者同士の対峙はもはや戦いにすらならない。著者の考える本物の強さが如実に描かれていた。今野先生、続編を切望します。2023/06/18
活字スキー
18
【獣は戦う。それは己を、子孫を守るため。生きるために戦う。戦うために生きるのではない】作家人生40年を迎えるという今野敏のもうひとつの顔、武道家としての矜持が光る大著にして極上のエンターテインメント堂々の完結。予想通り物語としては非常にシンプルであっさりとした幕引きながら、ひたすらに「本当の強さ」を求める剛や彼と出会い、影響し合う者たちそれぞれの葛藤、信念、成長等の濃厚なドラマをたっぷりと堪能させてもらった。二天一流の禅僧と伝統空手を継承する老人、二人の超絶的達人との邂逅を経て、剛の拳は究極の域に……。2018/03/31