内容説明
幕末維新から日清・日露戦争を経て、明治の終焉へ…。吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛から乃木希典、岡倉天心まで、疾風怒涛の時代を生きた人間の思想と矛盾と葛藤を描く。歴史における敗者への想像力が息づく、出色の歴史人物論集。文庫オリジナル。
目次
吉田松陰―吉田松陰
坂本龍馬―維新前夜の男たち
西郷隆盛―西郷隆盛の反動性と革命性
後藤象二郎―明治的マキャベリスト
高山樗牛―高山樗牛
乃木希典―乃木伝説の思想
岡倉天心―岡倉天心の面影
徳冨蘆花―蘆花断想
内村鑑三―内村鑑三先生
小泉三申―小泉三申論
頭山満―頭山満
著者等紹介
橋川文三[ハシカワブンソウ]
1922(大正11)年長崎県対馬に生まれ、広島に育つ。思想史家・評論家。45年東京大学法学部卒業。編集者生活を経て、明治大学政経学部教授。83(昭和58)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
3
単なる人物や出来事の紹介ではなく、現代に通じる歴史の意味といったようなことを考えさせてくれる重みのある内容であった。また、あらためて彼の時代に活躍した人物達と時代そのものの、若さ、熱意、躍動感といったものを感じさせられた。そこが、多くの日本人に幕末から維新の時代が人気がある理由でもあるのだろう。それは、現代という時代の閉塞感の裏返しであるのかもしれない。権力者あるいはそれを目指す者が過剰なまでに力をぶつけ合う。そんな時代が理想とは言えないだろうが、それを経て我々は理想的な安定の時代を得ただろうか。→(2)2018/07/04
katashin86
0
吉田松陰から頭山満まで、近代日本の幕開けを生きた人物についての軽めのエッセイの集成。とりわけ大西郷と後藤象二郎の編が素晴らしい。2022/08/15
風斗碧
0
興味があったのでとりあえず頭山満の項だけ。知ってて当然の人物の羅列が続く為か、知識のない私にはちょっと難しかった。(特に中国・朝鮮史方面) 頭山満については日本最大の右翼と言われ、「怖い人」の印象があったのだが、壮士として活動した前半生と、後半・晩年の印象とはだいぶ違ったように思った。現在の「右翼」と呼ばれるものとまた全然印象が違うものだと思う。2018/09/12