出版社内容情報
名句《竹馬やいろはにほへとちりぢりに》で知られる久保田万太郎。浅草に生まれ長年暮らした文人が、明治・大正・昭和の三代にわたるこの町の移り変わりを懐旧の情にみちた筆致で綴った名随筆。「雷門以北」「吉原附近」「浅草の喰べもの」「夏と町々」ほか全十九編。全集版による初の文庫化。 解説・戌井昭人
内容説明
名句“竹馬やいろはにほへとちりぢりに”で知られる文人・久保田万太郎。浅草生まれ浅草育ちの生粋の江戸っ子が、明治・大正・昭和三代にわたって移りゆく町の姿を懐旧の情にみちた筆致で綴る。「雷門以北」「吉原附近」「浅草の喰べもの」「夏と町々」ほか全十九編。不朽の浅草案内。
目次
雷門以北
吉原附近
続吉原附近
隅田川両岸
浅草田原町
あやめ団子
相模屋の路次・浅倉屋の路次
浅草の喰べもの
夏と町々
絵空事
一年
浅草よ、しずかに眠れ
夜店ばなし
除夜
正月
水の匂
らッぱぶし
さのさぶし
町々…人々…
著者等紹介
久保田万太郎[クボタマンタロウ]
1889(明治22)年、東京・浅草に生まれる。小説家、劇作家、俳人。慶應義塾大学在学中の1911年、小説「朝顔」、戯曲「遊戯」を『三田文学』に発表し、一躍脚光を浴びる。以後、生粋の江戸っ子として下町で暮らす庶民の哀歓を描いた作品を発表。小説『三の酉』(読売文学賞)などがある。岸田國士、岩田豊雄と文学座を旗揚げし、俳誌『春燈』を主宰した。63(昭和38)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
62
浅草出身の作家による浅草昔語り。自分にとっての浅草のイメージというと、六区を中心とする演劇や映画、歌劇といったものなのだが、本書で語られているのは江戸と地続きになったようなしっとりとした浅草であった。江戸の名残を残す明治を描いた部分、次いで十二階に象徴される大正の浅草から焼け跡まで。大凡四つの時代がそこにあった店や風俗と共に生き生きと語られている。特に店の転変が移り変わる様が時代を感じさせる。著者自身の少年時代を通して見た生きた浅草。こういう遠い日の影法師を追ったようなノスタルジックな作品、大好きである。2017/12/15
スプリント
4
昭和の前半に書かれた浅草にまつわるエッセイです。いつの時代でも昔を懐かしがるものですね。エッセイに書かれた風景はいまはどれくらい残っているのでしょうか。2017/10/11
じぇにぃ
1
在りし日の過去の浅草に思いを馳せると共に、(当たり前だけれども)今から見た「過去の浅草」にとっても「過去の浅草」が存在するのだなと気づいた。また、震災と戦火が浅草にもたらした影響の大きさを痛感した。作中に登場する飲食店の中には、場所こそ違えど現存するお店がいくつかありそうなので、いつか足を運んでみたい。2022/01/07
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