中公文庫
帝都復興の時代―関東大震災以後

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  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122064232
  • NDC分類 210.69
  • Cコード C1121

内容説明

未曽有の災害から復興を目指した官庁は政治に翻弄され、ついに「伏魔殿」となった。本書は後藤新平の動きを中心にその事情を捉える一方、大震災以後に登場した様々な社会意識を追い、大衆消費社会の成立過程を見据える。震災と日本人について、歴史的視座から多くの示唆を投げかけた傑作。

目次

第1章 関東大震災後の政治と後藤新平・復興院の挫折(大正後期の政治的布置状況;第二次山本権兵衛内閣の成立;後藤・犬養ラインの普選を軸にした新党運動の展開;新党計画の挫折と後藤・犬養のヘゲモニー喪失;小括)
第2章 復興局疑獄事件とは何か―「伏魔殿」と化した復興官庁(「百鬼夜行の寄合い世帯」―新聞報道の開始;逮捕者の続出と土木部長の自殺;「神道明照教」と『米相場必勝法』―公判に見る震災後の官吏意識;小括―ありうべき復興官庁像)
第3章 「天譴論」から「享楽化」・「大衆化」へ―関東大震災後の社会意識の変化(関東大震災直後の共同性・平等性意識の強調;「天譴論」―産業文明への反省・自然回帰論の広範化;一・二年後の「享楽化」「頽廃化」;「復興」と『東京行進曲』的大衆消費社会の成立;まとめ)

著者等紹介

筒井清忠[ツツイキヨタダ]
1948(昭和23)年大分市生まれ。帝京大学文学部長、同大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位修得退学ののち、京都大学教授などを経て、現職。著書に『西條八十』(読売文学賞、中央公論新社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

9
東日本大震災の半年後に書かれた、関東大震災についての本。当時の政治史を見ることにより、後藤新平と復興院の神話を暴く前半と、震災後の享楽・頽廃的な思想や文化を畫く後半。一つ一つのエピソードは面白いが、全体的なまとまりには欠けていた。もう少し大きな時代の分析が読みたかった。2020/09/22

うえ

5
一章、後藤新平・復興院の挫折、二章、復興局疑獄事件となっているがどうでもよい、し震災復興についても段取りについても書いてない。著者の書きたかったのは三分の二を占める三章、天譴論から享楽化・大衆化へ、だろう。行き過ぎた者たちへの警鐘(天譴)だとする渋沢栄一、銀座通りの不良青年でなく本所の貧民が焼け死んでいるのに天譴があるかと憤る柳田国男、そして何より震災後、享楽にまみれる帝都を描き出す杉山萌円(後の夢野久作)である。デモクラ化すら堕落化とする杉山の視点が、むしろ当時の世相を描き残しているのがわかるだろう。2021/09/09

wang

1
関東大震災後の復興の頃の出来事を当時の新聞報道などの資料を元に再構築。復興院を舞台にした政治対立、復興局の汚職事件など舞台裏の出来事を知らなかった。が、引用が多くて読みにくい。個々の出来事を新聞記事の文章をつぎはぎして再現し、大局的動きがわかりにくいし、その全体の中での重要性も伝わりにくい。新聞記事は事実ではなく新聞記者という偏った思想の人が、自分の主義主張を広めるために事実を編集した半創作だから、記事があるから正しい歴史だとは言えない。当時の風俗など時代の気分を記事や随筆で紹介した部分は面白かった。2019/09/28

take0

1
書名に関心を覚えて読んだが、世相史、生活史といったものではなく、政治史的な内容だったので、ちょっと期待とは違ったものだった。とは言え、関東大震災の復興といえば必ず名前が挙がる後藤新平について、「従来、関東大震災の復興に際しては後藤新平の役割が過大に評価され事実とは大きく異なる神話化が行われてきた」として、一章ではその政治的失策を論じ、また二章では復興局での多数の逮捕者を出した疑獄について述べ、復興事業の迷走を明らかにしていて、なかなかに興味深く読むことができた。三章は少々一面的過ぎるように感じられた。2018/10/02

塩崎ツトム

0
自分も東日本大震災直後は後藤新平と復興院関係の本を少し読んだけど、実際のところ、復興院は有名無実で、その後の復興局は汚職と省間の綱引きにまみれた伏魔殿だった。まあ、反面教師的組織だな。2017/07/21

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