内容説明
変わっていく身体、減らない体重、親の老い、夫の偏屈。更年期に次々とふりかかる事態に女たちは奮闘する。その闘いぶりは、“漢”と書いて“おんな”と読むにふさわしい―ぽっぽと火照るからだで日米を往復し、仕事に介護にラテン系エクササイズにと全力で走り抜けた日々。人生と格闘する多くの女たちの支持を得た、パワフルなエッセイ集。
目次
初冬やくそ暑いのは我ばかり。
寒鼠最期はゴミとなりにけり。
本命のチョコ食いあかす犬心。
経血やしょぼしょぼしょぼと寂しそう。
朧月夜の目も寝ずに数独かな。
五十五のやぶれかぶれの色気かな。
春あらし山もめらめら燃えておる。
桜さき骨うきあがる散りぬるを。
ゆく春や鬼のいぬ間に何をせう。
目に青葉愛染かつらクリームパン。〔ほか〕
著者等紹介
伊藤比呂美[イトウヒロミ]
1955年、東京都生まれ。詩人。78年に現代詩手帖賞を受賞してデビュー。性と身体をテーマに80年代の女性詩人ブームをリードし、同時に『良いおっぱい 悪いおっぱい』にはじまる一連のシリーズで「育児エッセイ」という分野を開拓。近年は介護や老い、死を見つめた『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(萩原朔太郎賞、紫式部文学賞受賞)などがある。現在は、熊本と米国・カリフォルニアを拠点とし、往復しながら活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆいまある
102
50代になったので読んでみた。3回結婚して3人産んだ詩人が、年齢を重ねながら親を看取り、会話のない夫と結婚生活を続けるエッセイ。感受性が強すぎて記憶力が良すぎて余りにも傷つきやすくて常に頭の中が忙しい。この人ADHDではと思いながら読む(その勘はどうやら当たり)。「漢(おんな)たちよ」と呼びかけながら力強い文体が続くが、この人が寂しくて寂しくて号泣したいのを堪えながら書いてるように見えて仕方なくて、うん、生きるの辛いね、わかるよ、よく頑張ったねと思いながら読んだ。結構疲れた。2022/01/16
千穂
45
更年期真っ最中の私はフンフンうなづきながら読んだよ。面白かった。仕事に遠距離介護にラテン系エクササイズ、全力で走る伊藤さんのパワフルエッセイ。私もブルンブルン腰回してズンバやりたくなったよ。体重は減らなくても介護要らずの丈夫な足腰ゲット出来そう。2017/10/04
cao-rin
25
この方の著書は確か2冊目だと記憶している。最初の本は著書の最初の妊娠出産を綴った「良いおっぱい 悪いおっぱい」。今回の作品ではその最初のお子さん、カノコちゃんが母となる。懐かしさとタイトルに思わず手に取ったが、相変わらず歯切れがよい語り口。私より10歳ほどご年配だが、恐らくこの本は今の私くらいの頃書かれたのか?介護あり、親の看取りあり、ご自身の身体の変化や孫の誕生。そして文庫あとがきでは旦那様もお亡くなりに…それでもバイタリティ溢れる潔い彼女の生き様は大いに参考にしたい。まずはズンバをやってみるかな?2017/08/18
えりまき
23
2022(126)伊藤さんのエッセイ集。「良いおっぱい悪いおっぱい」以来の伊藤さんで、懐かしい。今回も共感モリモリで、お互い年を取りましたねって感じです。熊本で一人暮らしをする父親の介護のため、カリフォルニアと行ったり来たりの生活。仕事に育児にダイエットとかなりパワフル。朗読ボランティア、やってみたい。 2022/05/22
ぶんぶん
21
【図書館】何ちゅうタイトルかと思った。 月経の事を書いているのか、閉経に関して身体の変化とか、と思ったが全然違っていた。 閉経期に差し掛かる女性の心理状態と身体の変化が描かれている。 伊藤比呂美さんの文章は以前読んだ事がある。 いろいろ波乱万丈な生き方をされてきたようだ、まぁ、エネルギッシュなおばさんの独り言、といったエッセイである。 人生の終わりに近い女性のワビサビを感じた。 でも、五十五歳にもなってセックスを楽しんでいると言う事にビックリした。 やはり、この人はパッションの人だ。 2017/09/09