内容説明
新宿歌舞伎町裏のホテルで大蔵省キャリア官僚が墜落死した。自殺か、他殺か―。「特命」で捜査に加わる強行犯六係の松浦洋右は、他殺の証拠を手にする。しかし、大蔵省と取引した上層部が自殺と断定し、捜査は中止に。組織と対峙し私的な捜査を続ける松浦は、政官財癒着を象徴する陰謀にたどり着くが…。ブームの先駆となった傑作警察小説。
著者等紹介
久間十義[ヒサマジュウギ]
1953年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業。87年「マネーゲーム」で文藝賞佳作に入選しデビュー。90年『世紀末鯨鯢記』で三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
59
その正義は誰のためにある?何のためにある?被害者の無念を晴らす、そのためか?犯人逮捕で悪から市民を守る、それが正義か?組織のために臭いものに蓋をする、見て見ぬふりをする。そんなことで誰かの利益を守る。それさえ正義と言えるだろうか?一人の大蔵省キャリア官僚が墜落死したことでそれぞれの「正義」に揺らぐ、刑事たちの戦いを描いた警察小説。正義が必ず勝つとは限らない。哀しいけれどそれが現実。縦社会の悲愴。それでもなお事件を追及する松浦洋右に刑事の理想を委ねて今後の展開を楽しみにしている。下巻で刑事の「正義」をみる。2021/09/14
シアン
8
かなり骨太な警察小説。なんとなく昭和臭のする作品。一人の官僚の死から始まった事件は、政財官をも巻き込んでの事件へと発展していく。現場の刑事達がもう少し横の連携をもってくれたら面白いのに。総括は下巻にて。2017/03/09
S S
2
大蔵省官僚の謎の墜落死から始まる警察小説。政府と警察の裏社会関係が生々しくリアルに描かれている。警察小説好きには読み応えのある作品。続きが気になるので下巻へ。2017/02/28
れじい
0
一回読んだから再読のような。 忘れてるから初回? うーん、迷いながら下巻へGO!2023/07/03
布施鶴之助
0
昨年来の問題に対する各種報道を通じて財務省を中心に霞ヶ関界隈の独特な村社会的要素を聞きかじっているだけに、然もありなんと思いつつ、改めてその閉鎖性に寒気が。フィクションと分かっていても元ネタを探してしまう良い塩梅のリアルさがあり面白い。後半の展開が楽しみ。2018/06/30