内容説明
大正末期から昭和初期、大々的な琉球芸術調査を行い、貴重かつ膨大な資料を残した研究者・鎌倉芳太郎。稀代の記録者の仕事を紹介する本邦初の評伝であるとともに、彼に琉球文化の扉を開いた人々の姿、そしてそれが現代に繋がるまでの熱きドラマを描く。第二回河合隼雄学芸賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞をダブル受賞。
目次
第1章 彼が歩いた坂道
第2章 「沖縄学」の青春
第3章 あやうし!首里城
第4章 夢のような宴―伊東忠太の沖縄
第5章 さよなら麦門冬
第6章 島々をめぐる旅―八百キロの琉球芸術調査
第7章 なちかさや沖縄、戦場になやい
第8章 紅型がふたたび「生まれる」
第9章 けーいみそーちー(おかえりなさい)
第10章 よみがえる赤い城
著者等紹介
与那原恵[ヨナハラケイ]
1958年東京都生まれ。96年、『諸君!』掲載のルポで編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。2014年、『首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像』で第二回河合隼雄学芸賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茶幸才斎
7
大正13年から昭和2年の間に2度の琉球芸術調査を行った鎌倉芳太郎が残した厖大な記録ノートと多数の写真乾板は、その後の沖縄戦で失われた琉球建築と工芸の復興に大いに貢献した。本書は、生涯を琉球研究に費やした鎌倉の、また彼と同様に沖縄を愛し彼の仕事を支援した人々の、そして近代琉球沖縄それ自体の記録である。当たり前の町の風景や、日々手にする道具や、慣れ親しんだ伝統行事や、口を衝いて出る話し言葉が、我々のアイデンティティを強く規定している。失って初めてそれに気付く。この「今」を記録にとどめる意義を、痛感させられる。2019/04/20
かみーゆ
6
大作でした。膨大な資料を読み込んでまとめあげた与那原さんに脱帽ですね。鎌倉芳太郎もすごいけど、周りのいろんな方々の協力もしっかり書かれてて、首里城再建に至るまでのドラマとして本当に魅力的な一冊です。キーパーソンである末吉麦門冬って初めて知りましたけど、最期とかも含めてちょっと金城哲夫な感じがしました。与那原さん縁があったとはね。本書を書く運命だったんだな。燃えてしまった首里城ですが、今度はこれだけ揃ってるんだから再建もスムーズにいくことを願っています。2022/06/07
唐橋史(史文庫~ふひとふみくら~)
3
大河ドラマ化希望。鎌倉芳太郎という人の、圧倒的才能とそれを補って余りある不屈の努力が、奇跡を引き寄せたとしか思えない。
Ryuji Saito
0
2024年10冊目。2024/03/26